1987年のゲーム史。ハードでは最終的に1000万台以上を販売した「PCエンジン」がこの年に発売されました。セガは、前年に海外で展開していた「セガ・マスターシステム」のマイナーチェンジ版を日本で発売。ゲームでは「ファイナルファンタジー」の第1作目が発売された年でした。
NECとハドソンが送り出したPCエンジンは、ファミコンの隣に“未来”を置き、『ファイナルファンタジー』『女神転生』『ドラゴンクエストII』は、 “物語を進める”という感覚をプレイヤーに届け始めます。
この年、ゲームは“何をするか”ではなく、“どこへ向かうか”を問い始めました。
1987年を、日付とともに振り返っていきましょう。
“続編”は、前作をなぞらない。
『ゼルダの伝説』の続編として登場した『リンクの冒険』は、
見下ろし視点から横スクロールアクションへと構造を一新。
“続編とは、前作の焼き直しではない”という任天堂の姿勢が、
プレイヤーに“変化を受け入れる楽しさ”を教えてくれました。
“世界が続いている”という感覚。
『ドラゴンクエストII』は、前作から100年後の世界を舞台にしたRPG。
パーティ制、船による移動、複数の町とダンジョン――
“冒険の広がり”と“物語の継承”が、シリーズという概念を定着させました。
“竜になる”という変身願望。
『ドラゴンスピリット』は、竜に変身して戦う縦スクロールSTG。
地上と空中の撃ち分け、巨大ボス、ファンタジー世界――
“人ではない存在になる”という没入感が、プレイヤーを引き込みました。
“テレビ局とゲーム”の異色コラボ。
『夢工場ドキドキパニック』は、フジテレビのイベントと連動した横スクロールアクション。
後に『スーパーマリオUSA』として海外展開されるこの作品は、
“IPとゲームの融合”という新たな可能性を示しました。
“悪魔と会話する”という異端。
小説を原作とした『女神転生』は、悪魔を仲魔にし、合体させるという独自のシステムを導入。
“敵と戦う”だけでなく“交渉する”という選択肢が、
RPGに“倫理”と“選択”という新たな軸を持ち込みました。
“8ビットの完成形”を掲げた挑戦。
『セガ・マスターシステム』は、マークIIIの上位互換機として登場。
FM音源、連射機能、3Dグラス対応などを標準搭載し、
“性能で勝つ”というセガの姿勢を明確に打ち出しました。
“次世代”が、ついに姿を現した。
『PCエンジン』は、8ビットながら16ビット級のグラフィック性能を誇る新型機。
Huカードによる小型ROM、アーケード移植の完成度、
そして“NEC×ハドソン”という異色のタッグが、 “ファミコンの次”を現実のものとして提示しました。
◽️ローンチタイトル
・上海(ハドソン)
・ビックリマンワールド(ハドソン)
“最後”のつもりが、最初の伝説に。
『ファイナルファンタジー』は、当時経営危機にあったスクウェアが“最後の賭け”として送り出したRPG。
ジョブ選択、飛空艇、クリスタル、そして植松伸夫の音楽――
“物語を進める”という体験が、ここから始まりました。
結果としてこの“ファイナル”は、シリーズの“スタート”となり、
以後のRPG文化を大きく塗り替えていきます。
1987年は、“次世代”が玄関をノックし、“物語”が歩き出した年でした。
PCエンジンが“未来”を名乗り、ファイナルファンタジーが“伝説”を始め、
女神転生が“異端”を許し、ドラゴンクエストIIが“世界の継承”を示しました。
ゲームは、ただの遊びではなく、“続いていくもの”になり始めていました。
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