1984年、ゲームは“家庭の中に根づく”と同時に、“外でしかできない体験”を再定義し始めました。
ファミコンは“標準”としての地位を固め、他社ハードはその影に埋もれていきます。
一方アーケードは、操作・演出・構造の再構築を進め、“家庭との差異”を明確に打ち出し始めました。
この年、ゲームは“どこで遊ぶか”ではなく、“何を感じるか”を問われ始めます。
1984年を、日付とともに振り返っていきましょう。
“スポーツを遊ぶ”という感覚の定着。
ファミコン初期のスポーツゲーム『テニス』は、シンプルな操作とテンポの良さで人気を博しました。
“テレビの中でスポーツをする”という体験が、家庭用ゲームの定番ジャンルを形作っていきます。
“光線銃”が家庭にやってきた。
『ワイルドガンマン』は、光線銃を使って画面の敵を撃つガンシューティング。
アーケードの“撃つ快感”を家庭に持ち込む試みであり、
“周辺機器による体験の拡張”という方向性を示しました。
“大人も遊ぶ”という視点の強化。
『ゴルフ』は、ファミコン初の本格的ゴルフゲーム。
ショットの強さや方向を調整する操作系が、
“考えて遊ぶ”という感覚を家庭に根づかせました。
“遊ぶ”と“作る”の境界線。
『ファミリーベーシック』は、BASIC言語によるプログラミングが可能な周辺機器。
“ゲームを作る”という体験を家庭に届け、
“プレイヤーがクリエイターになる”という思想の入口となりました。
“後継機”が直面したファミコンの壁。
『スーパーカセットビジョン』は、エポック社の新型機として登場。
『マッピー』『スカイキッド』『ドラゴンスレイヤー』など意欲的なソフトを揃えたものの、
ファミコンの勢いには及ばず、互換性のなさも普及の妨げとなりました。
“継承と改良”で挑んだセガの再出発。
『SG-1000II』は、セガの家庭用ゲーム機SG-1000の改良モデル。
薄型化とジョイスティックの着脱式化を実現し、
“ファミコンに追いつく”ための改良が図られました。
“シリーズの変化”が見えた三作目。
『ドンキーコング3』は、シューティング要素を取り入れた異色作。
スタンリーを操作してドンキーコングを撃退する構造は、
“キャラクターの使い方”に多様性が生まれ始めたことを示していました。
“謎解き”がゲームに物語を与えた。
『ドルアーガの塔』は、60階建ての塔を1フロアずつ攻略していくアクションRPG。
隠された宝箱の出現条件が極めて複雑で、
“攻略情報を共有する文化”がアーケードに根付くきっかけとなりました。
“横スクロール”に物語と演出を。
『パックランド』は、アニメ版『パックマン』をベースにした横スクロールアクション。
背景の変化、ジャンプの演出、ステージ構成など、
後の『スーパーマリオブラザーズ』に影響を与えたとされる要素が多数見られます。
“スピード”と“定番”が家庭に届いた。
『F1レース』は、ファミコン初の本格レースゲーム。
『パックマン』は、アーケードの定番が家庭に移植された象徴的タイトル。
“家庭でアーケードを再現する”という流れが、ここで加速します。
“コースを作る”という自由。
『エキサイトバイク』は、横スクロールのバイクレースゲーム。
ジャンプや障害物の配置に加え、コースエディット機能を搭載し、
“遊びを作る”という感覚を家庭に届けました。
1984年は、ファミコンが“家庭の標準”として定着し、
他機種が次々と撤退・再編を迫られた年でした。
一方アーケードでは、“家庭ではできない体験”を模索する動きが加速し、
演出・操作・ジャンルの再構築が進んでいきます。
ゲームは、“どこで遊ぶか”ではなく、“何を感じるか”を問われ始めていました。
1984年は、その問いが“文化”として形になり始めた年だったのかもしれません。
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