1992年は、ゲームの構造が多様化し、企業ごとの方向性がより明確になった年です。スクウェアは『ロマンシング サ・ガ』で自由度の高いRPGを打ち出し、チュンソフトは『弟切草』でノベルゲームという新しいジャンルを確立しました。アーケードではセガが『バーチャレーシング』を投入し、3Dポリゴンによる表現が本格的に始まりました。
この年は、スーパーファミコン・メガドライブ・PCエンジンの三つ巴が続く中で、各社が独自の技術やジャンルに注力し、ゲームの遊ばれ方や作られ方に新しい選択肢が増えていきました。
一本道ではないRPGが登場した。
『ロマンシング サ・ガ』は、8人の主人公から1人を選び、自由な順序で物語を進める「フリーシナリオ」システムを採用したRPGです。戦闘回数によって敵が強くなる仕組みや、経験値ではなく行動によって成長するシステムなど、従来のRPGとは異なる構造が特徴でした。
スクウェアはこの作品で、一本道の物語ではなく、プレイヤーの選択によって展開が変わるRPGの可能性を提示しました。
ノベルゲームというジャンルが生まれた。
『弟切草』は、文章を読み進めながら選択肢を選ぶことで物語が分岐するホラーノベルゲームです。操作はシンプルながら、音響や演出によって緊張感のある体験が生まれ、ゲームの新しい表現形式として注目されました。
チュンソフトはこの作品を皮切りに、『かまいたちの夜』『街』など、ノベルゲームというジャンルを確立していきます。
3Dポリゴンによる表現が始まった。
『バーチャレーシング』は、セガが開発した3Dポリゴン描画基板「MODEL1」を使ったレースゲームです。ポリゴンによる立体的な表現や、ピットクルーの登場、ワイド画面の採用など、アーケードゲームの表現力を大きく広げました。
この作品は、翌年の『バーチャファイター』へとつながる技術的な基盤となり、アーケードにおける3D時代の幕開けを告げました。
家族というテーマが導入された。
『ドラゴンクエストV』は、親子三代にわたる物語を描いたRPGです。プレイヤーは結婚相手を選び、子どもとともに冒険するという構造が導入され、ゲームの中に“家族”というテーマが本格的に組み込まれました。
エニックスはこの作品で、物語のスケールと感情の深さを両立させる新しいRPGの形を提示しました。
1992年は、ゲームの構造が広がった年です。一本道ではないRPG、読むゲーム、3Dによる表現、家族を描く物語――それぞれが新しい形式を提示し、ジャンルや技術の枠を越えていきました。企業ごとの方向性も明確になり、次の時代への準備が進んだ一年でした。
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