『最果てのイマ PORTABLE』は、現実の学園生活と夢の中での「戦争」という二つの世界が交錯するSFサスペンスアドベンチャーゲーム。2013年1月31日にサイバーフロントからPSPで発売されました。本作は、2005年にXuseから発売されたPCゲーム『最果てのイマ』のコンシューマー移植版です。主人公の貴宮忍は、ピアノの旋律が聞こえる旧校舎で、記憶を失った少女と出会います。彼女との出会いをきっかけに、忍と仲間たちは、平穏な日常の裏側で進行する「イメージ」を武器にして戦う過酷な戦争へと巻き込まれていくことになります。
ゲームプレイは、テキストを読み進めながら選択肢を選んで物語を分岐させるノベル形式で進行します。物語は「現代編」と「戦争編」の二つのパートが交互に描かれ、現実世界での人間関係や出来事が、精神世界である「幻影空間」での戦いに影響を与える構造になっています。プレイヤーの選択によって、幼馴染の伊月や、不思議な少女・紅緒といったヒロインたちとの関係性が変化し、世界の謎や主人公自身の失われた記憶に迫る異なる結末へと分岐します。PSP版では、新規オープニング曲やイベントCGが追加され、演出面が強化されています。
本作は、『人類は衰退しました』などで知られる田中ロミオ氏が企画・シナリオを担当しており、その哲学的で難解なテキストと、壮大な世界観設定が特徴です。「破壊と再生」「記憶と自己」といった重厚なテーマが扱われており、日常の崩壊と世界の終末を巡るシリアスなドラマが展開されます。独特の用語や概念が多く登場しますが、それらが一つの真実へと収束していく構成力と、キャラクターたちの痛切な心理描写が、読み手に対して強い問いかけを投げかけます。
本作のシナリオライターである田中ロミオ氏は、PCゲーム業界でカルト的な人気を博した後、ライトノベル作家としても成功を収めました。彼の作品に通底する、社会や人間関係に対するシニカルな視点と、SF的なガジェットを用いた世界構築に興味を持った方は、氏の代表作である『AURA 〜魔竜院光牙最後の闘い〜』などを読むことで、その作家性の核にある「ボーイ・ミーツ・ガール」の変奏をより深く味わうことができます。
AURA 〜魔竜院光牙最後の闘い〜 (ガガガ文庫)













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