【1988年のゲーム史】 「選ばれる理由」が問われ始めた年

【1988年のゲーム史】 「選ばれる理由」が問われ始めた年 2

1988年、ゲームは「持っているかどうか」ではなく、「なぜそれを選んだか」で語られるようになりました。『ドラゴンクエストIII』の発売日には列ができ、ニュースが動き、警察が出動します。その一方で、遊び方の幅を広げる作品や、次世代を見据えたハードが登場し、ファミコンの終盤と“次の主語”が、同じ地平に並び始めていました。

2月10日 家庭用『ドラゴンクエストIII』(エニックス)発売

発売日は“祝日”、入手は“戦争”。

社会現象という言葉が、ゲームに初めて本気で使われた日。エニックスが放った『ドラゴンクエストIII』は、発売前からテレビで報道され、発売日には全国の店頭に長蛇の列ができ、警察が出動する事態にまで発展しました。

内容も圧巻でした。転職システム、広大なワールドマップ、前作との時代的接続。“遊びの自由度”という言葉が、初めてファミコンで現実味を帯びた瞬間です。この作品を境に、RPGは「読むもの」から「構築するもの」へと変わっていきます。

6月20日 家庭用『ファミコンウォーズ』(任天堂)発売

ジャンプボタンのない戦場。

任天堂がこのタイミングで“戦略シミュレーション”を出したことには意味があります。ファミコンが「反射神経の遊び場」から「思考の実験場」へと変わりつつあるなかで、『ファミコンウォーズ』は、数値と地形と誤算だけで構成された“将棋のような戦争”を提示しました。

当時の小学生にはやや早すぎたとも言われますが、この作品がのちの『ファイアーエムブレム』や『アドバンスウォーズ』へとつながる、任天堂の“戦略系DNA”の起点であることは間違いありません。

7月29日 家庭用『ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者』(任天堂)発売

読むゲームは、喋りすぎて正解だった。

テキスト中心のアドベンチャーゲームが、家庭用で成立するか。任天堂がその問いに出した答えが『ファミコン探偵倶楽部』でした。演出、台詞回し、演技の呼吸――すべてが“読むこと”を支えるために設計されており、Aボタンの連打ではなく、証言の矛盾を読むことで進む構造は、「ゲーム=操作」という前提を静かに裏切ります。

この作品がなければ、のちの『逆転裁判』も『428』も、“ゲームで物語をやる”という発想自体が、もっと遅れていたかもしれません。

9月22日 家庭用『ロックマン2』(カプコン)発売

「2は強くて当然」と思わせた青い弾丸。

「ワイリーまた来たの?」とツッコまれつつ、誰もが納得した完成度。操作感は軽快に、音楽は記憶に残り、ボスの癖も整理された。初代の地味さを抜けたのは、派手さではなく、“理解されやすさ”のチューニングだった。プレイヤーが「やれば進める」と思える設計は、続編の基準を一段上げてしまった。

10月29日 家庭用『メガドライブ』(セガ)発売

性能で殴る、という戦い方。

セガはこの年、8ビット戦争から一足先に降り、16ビット機『メガドライブ』を投入します。搭載されたMC68000は、アーケード筐体やX68000にも使われた高性能CPU。『スペースハリアーII』『獣王記』など、アーケード直系の移植群を揃え、「ファミコンとは違う」ことをまず数字で証明しにかかりました。

任天堂が“遊びの設計”で勝負していた時代に、セガは“性能と再現性”で殴り込んだ――その最初の一手がここです。

12月4日 周辺機器『CD-ROM²』(NEC・ハドソン)発売

容量は、夢と待ち時間を連れてきた。

PCエンジンの拡張機として登場したCD-ROM²は、「フルボイス」「ナレーション」「CD音源」といった言葉をゲーム売場に並べました。NECとハドソンが組んだこの規格は、“メディアの変化が表現を変える”という未来を、確かに先取りしていました。

ただし当時の実態は、読み込みの長さと演出の密度が釣り合わず、「表示を待つゲーム」という印象も強かった。それでも、ゲームのパッケージに“声”があるという事実は、数年後の表現基準を確実に一段跳ね上げていきます。

年内 アーケード『グラディウスII』『大魔界村』など稼働

続編は、過去作への回答。

グラディウスII』は、選択制と演出密度の調整により、ただの続編ではない“上書き型進化”を提示しました。『大魔界村』は、グラフィック強化によって理不尽さと演出がかみ合い、「難しいのに美しい」体験へと昇華されます。

この年、カプコンはCPシステムを導入し、アーケードの表現力は一気に“演出競争”の時代へと突入していきます。

「このゲームを選ぶ理由」が語られ始めたことで、ゲームは“持っている”ことよりも、“どう向き合うか”に軸足を移し始めていました。行列ができ、感情で選び、思考で競われ、声で語られるようになる――1988年は、作品それぞれに「何を託されたか」を見れば、そのまま“時代の速度”が見えてくる年です。

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コメント

  • 匿名 says:

    ## 感想、ネタバレ、キャラへの思い入れ、ゲームの体験談

    1988年は本当にゲームの当たり年!ドラクエ3は社会現象だったし、スーパーマリオ3は未だに遊びますね。特にSFC版の完成度は異常。隠しワールド探すの楽しかったなぁ。友達と情報交換してました!

    ドラクエ3、勇者一人旅縛りとか流行ったよね。転職システムを駆使して最強パーティー目指すのが燃えた!ゾーマ戦のBGMは今でも鳥肌モノ。

    セガジェネシス(メガドラ)のアフターバーナーII!あの擬似3D表現は衝撃的だった。BGMも最高で、ゲーセンの雰囲気を家で手軽に味わえたのが嬉しかったな。

    ファミコン世代だけど、PCエンジンのR-TYPEも忘れられない。あの硬派な難易度がたまらない!クリアした時の達成感はハンパなかった。音楽もカッコイイんだよね!

    シムシティ、永遠に時間泥棒!気づいたら夜通しプレイしてた。都市計画とか全然知らないのに、それっぽく街を作るのが楽しかった。ゴジラとか災害イベントも良いスパイス。

  • 匿名 says:

    ドラクエ3はマジで革命だった!あの音楽、転職システム、全部が衝撃的。友達と最強パーティ組むために、毎日レベル上げしてたなぁ。マリオ3も神!しっぽマリオで空飛ぶの楽しすぎた。1988年はゲーム黄金期だわ。

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