1987年にナムコ(後のバンダイナムコエンターテインメント)からリリースされたアーケードゲーム『ファイナルラップ』は、レースゲームの歴史にその名を刻む作品です。最大の特徴は、当時としては画期的だった筐体間のデータリンク機能でしょう。これにより、最大8人までの同時プレイが可能となり、ゲームセンターに新たな賑わいをもたらしました。

ゲームシステムもユニークで、トップのプレイヤーがスタートラインを通過すると、プレイ中の全員にタイムが追加されるというルールが存在しました。また、下位のプレイヤーほどタイヤのグリップ力や最高速度、加速性能が向上するという、弱者救済的な要素も盛り込まれていました。予選は存在せず、いきなりレース本番に挑むという、スピーディーな展開も魅力の一つでした。

シリーズ展開も行われ、『ファイナルラップ2』(1990年)では、ゲーム開始前にプレイヤーの多数決でコースを選択するシステムが導入されました。鈴鹿サーキット、インディアナポリス、モンテカルロ市街地コース、モンツァ・サーキットといった実在のコースを舞台に、マクラーレン、ロータス、ウィリアムズ、レイトンハウスといった実名チームのマシンを操ることができました。

続く『ファイナルラップ3』(1992年)でも、プレイヤー投票によるコース選択システムが採用され、シルバーストーン、ポール・リカール、カタロニア、イモラといったコースが登場。マシンもマクラーレン、ウィリアムズ、フェラーリ、ティレルといった名門チームが名を連ねました。

『ファイナルラップR』(1994年)では、FIA(国際自動車連盟)およびFOCA(フォーミュラ・ワン・コンストラクターズ・アソシエーション)からのライセンスを取得し、マシンやコースを公式に再現。オープニングデモには各チームのロゴマークが表示され、ドライバーのヘルメットも詳細に描かれるなど、リアリティを追求した作品となりました。ホッケンハイムリンク、ハンガロリンク、スパ・フランコルシャン、インテルラゴスといったコースと、マクラーレン、ウィリアムズ、ベネトン、フェラーリといったチームのマシンが登場しました。

携帯ゲーム機への展開としては、2000年3月23日にバンダイからワンダースワン用ソフト『ファイナルラップ2000』が発売。2001年11月15日には、ワンダースワンカラー専用ソフト『ファイナルラップスペシャル』がリリースされました。

PCエンジン版の『ファイナルラップツイン』では、通常のレースモードに加え、RPG風のクエストモードが搭載されました。2人プレイ時には画面が上下に分割され、対戦を楽しむことができました。