『SHORT PEACE 月極蘭子のいちばん長い日』は、2014年にPlayStation 3向けに発売されたハイスピードエフェクトアクションゲームで、劇場用オムニバス映画『SHORT PEACE』の第5作品として位置づけられた異色のタイトルです。映画4作品とゲーム1作品を収録したハイブリッドディスクで、須田剛一氏が原作・脚本・総合ディレクターを務め、神風動画やAC部などが映像制作を担当するなど、豪華クリエイター陣による“映像×ゲーム”の融合が特徴です。
物語の主人公は、月極駐車場を支配する財閥の令嬢であり、スナイパーとして暗躍する女子高生・月極蘭子。彼女がある暗殺依頼をきっかけに、奇妙で過激な一日を過ごすことになります。ステージごとに画風や演出が激変し、漫画風、アメコミ風、ホラー風、実写ダンスなど、まるで映像実験の連続のような構成が展開されます。ゲームパートは横スクロールアクションをベースに、ジャンプ、スライディング、射撃などを駆使して敵や追跡者をかわしながら進行。一部ステージではシューティングやマスク剥ぎデスマッチなど、ジャンルを超えた展開も盛り込まれています。
声優は女性キャラを内田真礼氏、男性キャラを鈴村健一氏がすべて担当しており、演じ分けの巧みさが話題となりました。ストーリーはギャグと超展開の連続で、巨大ドラゴンに変身する友人やメタルヒーロー風の兄、覆面レスラーとの最終決戦など、須田作品らしいカオスな世界観が炸裂します。ゲームとしてのボリュームは短めながら、映像作品としての完成度とインパクトは非常に高く、まさに“怪作”と呼ぶにふさわしい一本です。
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