『エクサフォーム』は、1999年にPlayStationで発売されたシミュレーションRPGで、壮大な世界観と独自の戦闘システムを備えた意欲作です。発売当時は、緻密な設定と美麗なグラフィックが注目され、シリーズ化を目指した構想も感じられる作品でしたが、完成度の面では賛否が分かれ、知る人ぞ知る“隠れた異色作”として記憶されています。

プレイヤーは、行動ポイントを消費して移動や攻撃を行う戦闘システムを駆使し、物語の舞台となる都市を探索しながら任務を遂行していきます。戦闘で使い残した行動ポイントがHPに加算されるなど、一風変わったルールが戦略性を高めています。街には多様な建物が並び、内部には必ずトイレが設置されているという奇妙なこだわりも見られ、生活感を演出しようとする意図が垣間見えますが、住民の数が極端に少ないため、無機質な印象を受ける場面もあります。

物語は一本道の構成で、自由度は低めながらも、キャラクターたちの個性や背景設定は丁寧に作り込まれています。プレイヤーは、閉鎖的な都市の中で少数の登場人物と関わりながら、徐々に明かされていく世界の謎に迫っていきます。戦闘と探索を繰り返す中で、プレイヤーはこの世界の歪さや孤独感に触れ、独特の没入感を味わうことになります。物語の進行に応じて訪れるダンジョンは一度きりの探索となり、再訪できない仕様もまた、世界の閉塞感を強調しています。

本作はPlayStation専用タイトルとして、2枚組のCD-ROMにより、設定資料や詳細な世界観を収録したディスク2が付属しています。ゲーム本編の自由度や演出面に課題はあるものの、設定集の充実ぶりからは、開発陣の世界構築への強いこだわりが感じられます。商業的には成功とは言えませんが、独自性と挑戦精神に満ちた作品として、今なお一部のファンに語り継がれています。

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