『スペクトラルタワーII』、1998年1月29日にアイディアファクトリーから発売されたPlayStation対応の3Dダンジョンロールプレイングゲーム。
全10,000階という途方もない規模を誇る自動生成ダンジョンに挑む、極めて挑戦的なローグライクスタイルの作品となっています。

本作は、架空の世界「ネバーランド」を舞台にした「スペクトラル」シリーズの一つであり、前作『スペクトラルタワー』の続編にあたります。プレイヤーは主人公ウェイブとなり、塔の頂上に眠るとされる「無限の力」と「永遠の命」を求めて、果てしない登頂の旅に出ます。前作で不評だった運任せのサイコロバトルは廃止され、今作では戦略的なコマンドバトルへと刷新されていますが、敵を倒しても経験値が得られないという独自の仕様が、リソース管理の緊張感を高めています。

最大の特徴は、数字を入力してキャラクターのクラス(職業)を決定する「ルーツシステム」と、あらゆるアイテムを食料にできる「食」の概念です。プレイヤーは8桁のパスワードを探し出し、100種類以上ある「ルーツ」に変身して能力や技を変化させながら塔を攻略します。また、回復アイテムだけでなく、剣や鎧といった装備品さえも「食べる」ことで体力を回復できるユニークな仕組みが、過酷なサバイバル生活にシュールな彩りを添えています。

終わりが見えないほどの長大なダンジョンを黙々と進むプレイ感は、一種の修行や精神修養にも似た没入感をもたらします。手軽な爽快感よりも、膨大な時間をかけてコツコツと積み上げる作業や、理不尽な状況を知識と工夫で突破することに喜びを見出す、探求心旺盛なプレイヤーに向けた一作です。

本作は、1996年に同社から発売された『スペクトラルタワー』の直接的な続編です。前作は、戦闘の勝敗すらサイコロの目で決まるという運の要素が非常に強い実験的な作品でしたが、独特の世界観でカルト的な人気を博しました。今作ではその世界観を受け継ぎつつ、ゲームの仕組みを根本から見直し、RPGとしての遊びやすさと奥深さを追求した正統進化版として位置づけられています。

スペクトラルタワー