『ピンボール ピンボール』は、1994年にスーパーファミコン向けに発売されたピンボールシミュレーションゲームであり、PC版『Pinball Dreams Deluxe』をベースにした移植作品です。本作は、リアル志向のピンボール体験を目指して設計されており、ゲーム的な演出やクリア目標を排除した純粋なスコアアタック型の構造となっています。プレイヤーは4種類の台から任意に選択し、ボールを操作してハイスコアを目指す形式で進行します。
収録されている台は「IGNITION(宇宙)」「Steel Wheel(西部劇)」「BEAT BOX(ロック)」「Nightmare(ホラー)」の4種で、それぞれに異なるテーマと専用BGM・効果音が用意されています。各台は約2画面分の縦長フィールドで構成されており、トップビュー視点によるシームレスなスクロールが採用されています。これにより、ボールの移動に応じて画面が上下左右に激しく揺れる設計となっており、視認性に課題がある構造です。
操作系はスーパーファミコンのボタン配置に準拠しており、左右フリッパー、プランジャー、台揺らし(LRボタン)などが割り当てられています。台揺らしは過度に行うと「ティルト」が発生し、強制的にボールを失う仕様です。ゲーム開始時には3つのボールが支給され、全て失うまでプレイが継続されるエンドレス形式が採用されています。ハイスコアが記録されるとネームエントリーが可能ですが、バックアップ非対応のため保存は不可となっています。
本作は、リアルな物理挙動とテーマ性のある台構成により、ピンボール本来の魅力を再現することを目的としていますが、画面スクロールの激しさや操作反応の鈍さなど、快適性に関する問題点も指摘されています。特に、ボールスピードが速く、フリッパーの位置把握が困難な状況が頻発するため、難易度が高騰する傾向があります。全体として、演出よりも物理挙動とスコア競技性に重点を置いた構造で設計された作品です。
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