『大正鬼譚』は、人間と「鬼」が密かに対立する架空の大正時代を舞台に、種族の壁と身分差に翻弄される恋を描く和風ファンタジー・恋愛アドベンチャーゲーム。2013年12月19日にQuinRoseからPlayStation Portableで発売されました。その後、2014年05月29日には、本編のハッピーエンド後を描いたファンディスク『大正鬼譚 〜言ノ葉櫻〜』が発売されています。物語の主人公・星野千種(名前変更可能)は、鬼の一族を束ねる由緒ある家の頭領でありながら、自身の正体を隠して全寮制の女学校に通っています。鬼を殲滅しようとする陸軍や、主人公を守る護衛の鬼たちとの間で揺れ動く、過酷な運命と禁断の恋が描かれています。

ゲームプレイは、画面に表示されるテキストを読み進め、要所で出現する選択肢によって物語の展開を変化させるオーソドックスなノベル形式で進行します。マップ選択やパラメータ管理といった複雑なシミュレーション要素は排除されており、純粋にシナリオを読み進める構成が採用されています。物語は共通ルートを経て、攻略対象キャラクターごとの個別ルートへと分岐し、それぞれの立場から見た「鬼と人間」の対立構造や、隠された真実が明かされていきます。

本作は、和装と洋装が入り混じる大正ロマン特有の華やかなビジュアルと、QuinRose作品らしいシリアスで重厚な設定が特徴です。攻略対象には、絶対的な忠誠を誓う鬼の従者、鬼を激しく憎む陸軍少尉、ミステリアスな教師などが登場し、敵対関係にある者同士の葛藤や、主従関係の一線を越える背徳感が描かれています。豪華声優陣によるフルボイス演出が、切なくも激しいドラマを彩り、ハッピーエンドだけでなく、悲劇的な結末を含む複数のエンディングが用意されています。

開発元のQuinRose(クインロゼ)は、ファンタジーや童話を独自解釈した乙女ゲームで知られるブランドです。本作のような「大正時代」や「異類婚姻譚」といったテーマに興味を持った方は、泉鏡花の幻想文学や、大正時代の風俗を解説した書籍などを読むことで、ハイカラで怪しい時代の空気感をより深く理解することができます。

高野聖 (文庫)

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