『断罪のマリア la Campanella』は、悪魔祓いの宿命を背負った少女と聖職者たちが闇に堕ちた魂を救済するダークファンタジーアドベンチャー。2012年5月31日に花梨エンターテイメントからPlayStation Portableで発売され、2009年に登場したPC版に新規エピソードや追加キャラクターを盛り込んだコンシューマー決定版として高い支持を得ました。

物語の舞台は、悪魔憑き事件が多発する現代。主人公・マリアは、エクソシスト養成機関である聖バルビナ学園へ転入し、個性豊かな仲間たちと共に「地獄の七大罪」と呼ばれる悪魔たちとの死闘に身を投じます。ゴシックホラーの情緒漂う世界観の中で、自らの過酷な運命や仲間の背負う深い業と向き合う、重厚でシリアスな人間ドラマが本作の核心です。

システム面では、伝統的な選択肢によるシナリオ分岐を採用したアドベンチャー形式です。各キャラクターのルートでは、単なる恋愛物語に留まらず、信仰心と己の欲望、あるいは救済と断罪の狭間で揺れ動く繊細な心情描写が綴られます。PC版からの大きな追加要素として、ファンからの要望が熱かった死神「ウリエル」の攻略ルートが完全新規で実装されており、物語の深層をより多角的に知ることができます。

演出面では、菜摘かんな氏が手掛ける耽美で退廃的なキャラクターデザインが、作品の持つダークな雰囲気を鮮やかに彩ります。PSP版では既存の攻略対象キャラクターにも追加イベントや新規CGが大幅に導入されており、全編を通してよりドラマチックな構成へとブラッシュアップされました。フルボイス仕様(主人公を除く)により、豪華声優陣による迫真の演技が、聖域と混沌が交錯するシーンを臨場感たっぷりに再現しています。

また、作品を象徴する音楽やゴシックなインターフェースデザインも、プレイヤーを非日常的な没入感へと誘います。残酷な運命に抗いながら、愛する者の魂を救うために祈りを捧げる少女の姿は、多くの乙女ゲームファンに強い衝撃と感動を残しました。ダークファンタジーならではの切なさと、絶望の中に微かな光を見出すような読後感が魅力の一作です。

『断罪のマリア la Campanella』は、花梨エンターテイメントが2009年に発売したPC用乙女ゲームを原作としています。本作は、キリスト教的モチーフや七大罪といった悪魔学の要素を独自に解釈した耽美な世界観が特徴であり、同社の代表作の一つとして高い評価を得ています。
運命の鐘が鳴り響く、断罪の物語へ