『いつか天魔の黒ウサギ -ポータブル-』は、鏡貴也による人気ライトノベルを原作とし、呪われた契約で結ばれた少年と吸血鬼の少女が織りなす「十五分の恋のアドベンチャー」。2011年12月22日に角川ゲームスからPlayStation Portableで発売されました。

物語の舞台は、平凡な日常を過ごしていた高校生・鉄大兎が、かつて自分が交わした「死なない契約」と、九年間幽閉されていた吸血鬼・サイトヒメアとの記憶を取り戻す場面から始まります。プレイヤーは大兎の視点を通じて、彼を巡る過酷な運命や、学園で繰り広げられる魔術的な戦いに身を投じることになります。原作やテレビアニメ版の展開をベースにしつつも、ゲーム独自のIF(もしも)の展開が楽しめるシナリオが用意されました。

ゲームシステムの要となるのは、一つのシーンを異なるキャラクターの視点から体験できる「M.O.S.S.(Multiple On-Scene Scenario)システム」です。同じ場面であっても、操作キャラクターを切り替えることで隠された内面描写や、別の場所で起きていた出来事を把握できるようになります。多角的な視点から物語を読み解くことで、登場人物たちの複雑に絡み合った感情や、事件の裏側に潜む真実に迫る体験を提供します。

メインシナリオ以外にも、ヒロインであるサイトヒメアとの親密な時間を楽しむための専用モードが収録されています。ここでは、大兎に対する彼女の健気な反応や、フルボイスで綴られる甘いエピソードが展開されます。また、アニメ版と同じ豪華声優陣を起用しており、緊迫したバトルシーンからコメディタッチな日常シーンまで、臨場感あふれる演出が物語を盛り上げます。

一年を通じた学園生活の中で、誰と絆を深め、どのような選択を下すかが物語の結末を左右します。魔術や呪いといった重厚な世界観を背景にしながら、キャラクター同士の「愛」と「献身」を丁寧に描き出した一作。携帯機ならではのテンポで、鏡貴也作品特有の疾走感あふれるファンタジー体験を余すところなく堪能できます。

『いつか天魔の黒ウサギ -ポータブル-』は、鏡貴也による富士見ファンタジア文庫のライトノベルを原作としています。九年前に交わした約束を巡り、数々の困難に立ち向かう少年少女の愛と戦いを描いた「学園リバース・ファンタジー」として多くの読者の支持を得ました。

いつか天魔の黒ウサギ