「デジタライズド・ゲームブック」という独自のコンセプトを掲げ、アナログなゲーム体験をデジタルで再現したアドベンチャー作品。それが2011年9月29日にアルケミストからPlayStation Portable向けに発売された『デッドエンド Orchestral Manoeuvres in the Dead End』です。物語の舞台は、吸血鬼とそれに対抗する組織が暗闘を繰り広げる現代の「東亰府」。高校生の符御 是人(ふみ ぜくと)が夜の校舎で異形の化け物「グール」に遭遇し、一度命を落としながらも蘇生し、人外の戦いへと身を投じていく物語が描かれます。
最大の特徴は、ノベル形式で進む物語の中に「ダイス(実体化されたサイコロ)」による判定が組み込まれている点。重要な局面での選択肢が、プレイヤーの意志だけでなく、振ったダイスの出目によって成否が左右されるという、まさにゲームブックのような不確実性が緊張感を生んでいます。主人公・是人は、日本刀を手に近接戦闘をこなし、博覧強記の天才児・小林少年や、強力な治癒能力を持つ同級生・トリホらと共に、特殊廃“忌”物対策課の一員として過酷な任務を遂行します。
実態としては、運の要素が展開を左右するため、一般的なアドベンチャーゲームに比べて攻略の難易度やランダム性が高い側面があります。しかし、PCゲーム『蠅声の王』と世界観を共有する重厚なシナリオや、スリリングなダイスロールの演出は、かつてのアナログゲームファンから高い支持を得ています。便利さや効率よりも、一期一会の運命に翻弄される「遊び」の感覚を重視した、野心的なタイトルと言えます。
本作はゲームオリジナルの作品ですが、その根底には「カレル・チャペックのR.U.R.」や「星の王子さま」など、古典的な文学やSFへのオマージュ、そして緻密に構築された吸血鬼の生態設定が流れています。符御是人が対峙する吸血鬼たちは、単なる怪物ではなく、それぞれが固有の名前と役割を持つ知的な存在。彼らが「東亰府」という異質な都市で何を求め、是人がなぜ蘇ったのかという謎が、物語を最後まで牽引します。
この『デッドエンド』の持つ、都市伝説的でオカルトチックな世界観を日常でも体感してみませんか。作中の重要な要素である「ダイス(サイコロ)」をモチーフにした洗練されたアクセサリーや、本格的なゲームブックの楽しみを再発見できる書籍、あるいは「東亰府」のような少し不気味で魅力的な都市の風景を収めた写真集などは、プレイ後の感性を刺激してくれます。運命を自らの手で振り、物語を切り拓く感覚をより身近に楽しむためのアイテムをぜひチェックしてください。













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