『AMNESIA』、2011年8月18日にアイディアファクトリー(オトメイト)から発売されたPlayStation Portable対応の女性向け恋愛アドベンチャーゲーム。記憶喪失の主人公が、パラレルワールドとして存在する複数の世界で、恋人とされる男性たちとの関係を手探りで紡ぎ直していく、サスペンス要素の強いミステリー恋愛作品となっています。
物語は、8月1日の朝、主人公が一切の記憶を失った状態で目覚めるところから始まります。目の前には「オリオン」と名乗る精霊が現れ、彼と共に記憶を取り戻すための生活がスタートします。プレイヤーはゲーム開始時に「ハート」「スペード」「クローバー」「ダイヤ」といったシンボルを選ぶことで、それぞれ異なる世界線へと分岐します。登場人物は同じでも、選んだ世界によって彼らの性格や主人公との関係性、そして周囲の環境が全く異なるという設定が、物語に深みと複雑さを与えています。
本作の特徴は、記憶がないことを周囲に悟られてはいけないという緊張感と、常に「死」の危険がつきまとうスリリングな展開です。攻略対象となるキャラクターたちは一見魅力的ですが、その裏には狂気や執着、悲しい秘密が隠されていることがあり、選択を誤ればバッドエンドへと直行します。煌びやかで独特な衣装デザインや、幻想的なグラフィックとは裏腹に、背筋が凍るような恐怖と、それを乗り越えた先にある真実の愛が描かれます。
その独創的な世界観とシナリオの完成度の高さから爆発的な人気を博し、後にファンディスクの発売やテレビアニメ化、PlayStation VitaやNintendo Switchへの移植も行われました。乙女ゲームの歴史にその名を刻む、美しくも危険な愛の物語です。
本作は、オトメイトから発売された完全オリジナル作品です。ディレクターには『緋色の欠片』シリーズなどに携わった東中ルミエ氏、キャラクターデザインには花邑まい氏を起用し、そのミステリアスなシナリオと洗練されたビジュアルで大ヒットを記録しました。本編の人気を受け、『LATER』『CROWD』『World』といったファンディスクが次々と制作され、メディアミックスも多岐にわたるオトメイトの看板タイトルの一つです。
AMNESIA












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