『湾岸ミッドナイト ポータブル』は、楠みちはるの漫画作品を原作とし、深夜の首都高速道路を舞台に極限の最高速を競い合うレースゲーム。2007年9月27日に元気からPlayStation Portableで発売され、先行して発売されたPlayStation 2版の要素を継承しつつ、携帯機の特性に合わせたシステム調整が施された作品です。

メインとなる「シナリオモード」では、原作コミックス33巻までのエピソードを追体験できます。プレイヤーは主人公・朝倉アキオとして「悪魔のZ」を駆るだけでなく、島達也の「ブラックバード」や秋川レイナの「R32」など、ライバルたちの視点から物語を進行させることも可能です。イベントシーンではキャラクターたちの対話が挿入され、公道300km/hオーバーの世界に魅せられた走り屋たちの哲学や葛藤が色濃く描かれます。

戦闘システムには、同社の『首都高バトル』シリーズで定評のある「SP(スピリットポイント)バトル」が採用されています。これは単なるタイムを競うものではなく、相手の後塵を拝したり、一般車や壁に接触したりすることで精神力を表すSPゲージが減少する仕組みです。相手のゲージをゼロにするか、ゴール時点で優位に立っていることが勝利条件となるため、高速域での繊細なハンドリングと、先行車を逃さない粘り強い追撃が要求されます。

「チューニングモード」では、原作に登場する高木やリカコといった腕利きチューナーたちから提示されるミッションをこなすことで、愛車の性能を強化できます。腕前(評価)に見合ったパーツしか装着できないため、プレイヤー自身のドライビングテクニックとマシンの成長が直結する設計となっています。また、一人の新人走り屋として首都高を流し、出会ったライバルを倒していく「アーケードモード」や、アドホック通信による最大4人での多人数対戦など、携帯機ならではのプレイスタイルに対応した多彩なモードが用意されています。

『湾岸ミッドナイト ポータブル』は、1990年から連載が開始された楠みちはるの漫画『湾岸ミッドナイト』を原作としています。解体所にあった「悪魔のZ」ことフェアレディS30Zに魅了された少年たちが、首都高速湾岸線を舞台に最高速への執念を燃やす姿を描いたモータースポーツドラマの金字塔です。

湾岸ミッドナイト