『Juiced Eliminator』は、実在のスポーツカーを自らの手でカスタマイズし、深夜の公道で名声と賞金を奪い合うストリート・レースゲームです。2007年5月24日にTHQジャパンからPlayStation Portableで発売されました。

プレイヤーは一人の走り屋として、都市を支配する複数のレーシングチームから「リスペクト(名声)」を勝ち取ることを目指します。本作の中心となるのは、独自の評価システムです。単にレースに勝利するだけでなく、ドリフト走行の質や対戦相手との駆け引き、さらにはマシンの仕上がり具合によって周囲の評価がリアルタイムに変動。リスペクトが高まることで新たなレースへの招待や、より高性能なパーツの使用許可が下りる仕組みが採用されています。

カスタマイズ要素は極めて本格的で、トヨタ、日産、ホンダ、三菱といった国内外のメーカーからライセンスを受けた実名車両が60車種以上登場。エンジンやサスペンションのチューニングといった性能面から、バンパー、スポイラー、デカールといった外装面に至るまで、数万通りの組み合わせが可能です。自身の個性を反映させた世界に一台だけのマシンを構築し、ストリートの主役を目指す過程を楽しめます。

本作ならではの緊張感をもたらすのが、高額な賭けや愛車の所有権を賭けて戦う「ピンクスリップ・レース」です。負ければ丹精込めて作り上げた愛車を即座に失うという極限のギャンブル性が、他のレースゲームにはない独自の刺激を演出します。また、タイトルにもなっている「エリミネーター・モード」は、周回ごとに最下位の車両が次々と脱落していくサバイバル形式のルールであり、一瞬のミスも許されない過酷な戦いが繰り広げられます。

携帯機ながらも、夜の街を彩るネオンの反射やマシンの質感を緻密に描いたグラフィックは当時のPSPにおいても高い水準を誇りました。アドホック通信機能による最大6人でのマルチプレイにも対応しており、自分たちで賞金を出し合って競う通信対戦ならではの駆け引きも網羅。本格的なシミュレーションの挙動と、ストイックなストリートの哲学が融合した一作です。

『Juiced Eliminator』は、2005年に据え置き機で発売された『Juiced』をシリーズの原点としています。ストリートレースの世界を「名声」と「賭け」という独自の切り口で描いたレーシングシリーズであり、本作はその魅力を携帯機向けに最適化したタイトルです。

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