『イケニエノヨル』は、懐中電灯の明かりだけを頼りに呪われた渓谷を彷徨うホラーアドベンチャーゲーム。2011年03月24日にマーベラスエンターテイメントからWiiで発売されました。物語の舞台となるのは、かつて神に生贄を捧げていたという伝承が残る「憑夜見(ツクヨミ)渓谷」。そこへ肝試しに訪れた5人の大学生(レッド、ブルー、イエロー、ピンク、ブラック)が次々と消息を絶ち、惨劇の夜が幕を開けます。プレイヤーは彼らが消えた24時間後にこの地を訪れた「あなた」となり、闇の中に残された彼らの痕跡を辿りながら、渓谷に巣食う怨霊たちから逃げ延びなければなりません。
ゲームプレイは、Wiiリモコンを懐中電灯に見立てて画面内の闇を照らしながら進む、一人称視点の探索型アドベンチャーです。最大の特徴は、プレイヤーには霊を攻撃したり撃退したりする手段が一切与えられていないことです。闇の向こうから迫りくる怨霊に遭遇した場合、プレイヤーができることはただ一つ、全力で逃げることのみ。バランスWiiボードにも対応しており、ボードの上に乗ってプレイすることで、恐怖で足がすくんだり、驚いて仰け反ったりしたプレイヤーの身体反応がゲーム内に反映されるという、体感型の恐怖演出も用意されています。
本作の独自性は、「呪い」をテーマにしたJホラー特有の湿度の高い恐怖演出と、実写とCGを融合させたリアルなグラフィックにあります。登場人物たちが遭遇する怪異は、心霊写真や心霊動画のような生々しさで描かれ、プレイヤーの精神をじわじわと追い詰めます。また、ゲームを進めることで「呪いが伝染する」というメタフィクション的な設定や、携帯電話に届く不気味なメールといった演出も盛り込まれており、ゲーム画面の中だけでなく、プレイヤー自身の日常さえも侵食するかのような没入感を提供します。
本作は、『ナナシ ノ ゲエム』などのホラーゲーム制作に関わったスタッフも参加しており、日本の怪談や都市伝説が持つ独特の気味悪さをゲームとして再現することに注力しています。理不尽な呪いや逃れられない宿命といったテーマに惹かれた方は、ジャパニーズホラーの金字塔である映画『呪怨』などを鑑賞することで、本作の根底に流れる恐怖の源流をより深く理解することができます。













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