『パワプロクンポケット7』は、ゲームボーイアドバンス向けに展開された野球育成シミュレーションゲームであり、パワポケシリーズの第7作目に位置付けられます。本作は「甲子園ヒーロー編」と「大正冒険奇譚編」の2部構成で展開され、表サクセスでは高校野球を舞台にしたヒーロー対抗型シナリオ、裏サクセスでは借金返済を目的としたRPG形式の冒険が描かれています。シリーズの中でも特に「正義とは何か」というテーマ性が強く打ち出されており、物語構造において倫理的葛藤が中心に据えられています。

表サクセス「甲子園ヒーロー編」では、突如現れた謎のヒーロー集団「ポケレンジャー」が花丸高校野球部を席巻し、既存部員との対立が生じる構造となっています。プレイヤーは主人公として、ヒーローに奪われた野球部を取り戻すために奮闘し、甲子園優勝とヒーロー打倒を目指す展開が描かれます。シナリオは3年制で構成され、選択肢やイベントによって分岐するマルチエンディング形式が採用されています。特定条件を満たすことで真エンドに到達可能であり、隠し彼女「芹沢真央」のルートではシリーズ屈指の難易度が設定されています。

裏サクセス「大正冒険奇譚編」は、帝都を舞台にした借金返済型RPGであり、野球人形コンテストへの出品を目的に資金を集める構造です。プレイヤーは探偵兼冒険家として依頼を受け、パーツ収集と人形育成を進めながら、最終的に1万円以上の資金を確保する必要があります。戦闘はターン制で進行し、仲間キャラクターの加入条件や強化イベントが複雑に絡み合う設計です。また、パーツの破損や価格変動などの要素が導入されており、資金管理と戦略的選択が求められる構造となっています。

本作は野球パートにおいて重大なバグや調整ミスが多数報告されており、送球速度の異常、走塁バグ、守備反応の不均衡などがプレイ体験に影響を与えています。特に一塁から三塁への直接走塁や、バント時の走力低下などはゲームバランスを著しく損なう要因とされており、シリーズファンからは「野球部分だけならクソゲー」との評価も見受けられます。一方で、シナリオの完成度やキャラクター描写には高い評価が寄せられており、物語重視のプレイヤー層には根強い支持を得ています。