『闘魂ヒート』は、アントニオ猪木の「闘魂」を輸血された小学生が覆面レスラーとなり、新日本プロレスのリングで大人のレスラーたちをなぎ倒す、熱血かつ荒唐無稽なプロレス・ライブ・アクション。2002年12月20日にパシフィック・センチュリー・サイバーワークス・ジャパン(PCCW Japan)からゲームボーイアドバンスで発売され、新日本プロレス創立30周年記念プロジェクトの一環として、現実のリングとゲームが連動する大規模なメディアミックス展開が行われました。
本作の主人公・大羽火人(おおば ひびと)は、瀕死の重傷を負った際にアントニオ猪木から輸血を受け、常人離れした身体能力「INOKI-IZM」に目覚めた少年です。彼は正体不明のマスクマン「ヒート」に変身し、永田裕志、天山広吉、獣神サンダー・ライガーといった実在のスター選手たちが待ち受ける新日本プロレスに入団します。キャラクターデザインには熱血漫画の第一人者・島本和彦氏を起用しており、暑苦しくも愛らしいキャラクターたちが織りなすドラマは、まさに少年漫画の王道を行く展開です。
ゲームシステムは一般的なプロレスアクションとは異なり、コマンド選択式のシミュレーションに近い独自の形式を採用しています。試合はリアルタイムで進行しますが、プレイヤーは「位置取り」「構え」「技選択」という手順を踏んで攻防を組み立てます。アクションゲームのような反射神経よりも、相手との間合いや技の相性を考える戦術眼が重要となります。また、攻撃を受け続けることで溜まる「闘魂ゲージ」がMAXになると、形勢逆転の必殺技を繰り出せるなど、プロレス特有の「受けの美学」とカタルシスを再現しようとした意欲的なシステムです。
本作の最大の特徴は、ゲームの発売に先駆けて、現実の新日本プロレスの興行でも謎のマスクマン「ヒート」がデビューした点です(正体は田中稔選手)。ゲームの中のキャラクターが現実のリングでIWGPジュニア王座を戴冠するなど、虚実が入り混じったプロモーションは当時大きな話題を呼びました。GBAという携帯機でありながら、プロレスの熱気とファンタジーを融合させた、記憶に残る一作です。
『闘魂ヒート』は新日本プロレスとのコラボレーション作品です。作中に登場する「ヒート」は、後に「CTU」などのユニットで活躍することになる実力派レスラー・田中稔が中身を務め、その高い身体能力でゲームのイメージを見事に体現しました。













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