『アンジェリーク』のゲームボーイアドバンス(GBA)版は、2002年3月21日に発売された携帯機向け恋愛育成シミュレーションゲームです。本作は1994年にスーパーファミコンで登場した初代『アンジェリーク』の移植作品であり、シリーズの原点を手軽に楽しめる構成となっています。GBA版では、基本的なゲームシステムはSFC版を踏襲しつつ、携帯機向けに操作性や表示情報が最適化されています。

ゲーム内容は、女王候補アンジェリーク・リモージュが9人の守護聖の力を借りて新大陸の育成を進めるという構造で、育成と恋愛の両要素が複合的に展開されます。守護聖との親密度が高まることでイベントが発生し、最終的には「女王になるか、恋を選ぶか」という分岐が用意されています。GBA版では、拠点マップに場所名が表示されるなど、初心者への配慮が強化されており、より直感的なプレイが可能です。

また、GBA版では一部のイベントに簡易ボイスが追加されており、携帯機ながら音声演出による臨場感が強化されています。守護聖の部屋では育成依頼だけでなく、会話や質問イベントが発生し、親密度に応じて特別なメッセージが表示される構造です。さらに、ライバルキャラクターであるロザリアの部屋にも訪問可能となっており、従来のシリーズにはなかった交流要素が追加されています。

グラフィックはドット絵による2D描画で構成されており、由羅カイリ氏によるキャラクターデザインが忠実に再現されています。イベントスチルやエンディングイラストも丁寧に描かれており、携帯機ながら視覚的な満足度が高い構成となっています。全体として、GBA版『アンジェリーク』はシリーズ初心者にも配慮された設計でありながら、原作の魅力を損なうことなく再現した移植作品です。