『機械化軍隊』は、携帯ゲーム機の常識を覆す本格的な戦術指揮を、硝煙とオイルの匂いが漂う戦場で描くリアルタイムストラテジー。2001年11月30日にコトブキシステム(ケムコ)からゲームボーイアドバンスで発売され、PCゲームで人気の高かった「RTS(リアルタイムストラテジー)」というジャンルを、限られたスペックの携帯機で完全再現した技術的偉業として語られる一作です。
本作の舞台は、資源枯渇により宇宙へと進出した人類が、新たな資源惑星の採掘権を巡って争う未来世界です。プレイヤーは3つの軍事国家(レオン、トランプラ、ミノス)のいずれかに所属する司令官となり、基地の建設、資源の採掘、兵器の生産、そして敵勢力の殲滅をリアルタイムで指揮します。マテリアルロック(建築材)、エナジーサンド(燃料)、レーザークリスタル(兵器開発用)という3種類の資源をバランスよく確保し、戦況に応じて施設を拡張していく内政手腕が問われます。
特筆すべきは、ユニット(兵器)のカスタマイズ要素です。戦場に投入するロボット兵器は「ボディ」「レッグ(脚部)」「ウェポン(武器)」の3パーツを自由に組み合わせて設計できます。高速移動が可能なホバー型、山岳を踏破する多脚型、圧倒的な火力を誇る重戦車型など、地形や敵の弱点に合わせてオリジナルの機体を開発し、量産して前線へ送り込む楽しみは、本作ならではの醍醐味です。敵の残骸からパーツを回収して新技術を獲得する要素もあり、戦うほどに軍隊が強化されていきます。
操作系はGBAの少ないボタン数に最適化されており、アイコン化されたコマンドによって直感的な部隊指揮が可能です。ハードウェアの制約上、表示できるユニット数には限界がありますが、わらわらと動く小さな兵器たちがレーザーやミサイルを撃ち合う様子は、戦術シミュレーション好きの心を熱くさせます。対戦ケーブルを使えば、手塩にかけた軍隊同士を激突させる2人対戦も可能で、携帯機RTSの金字塔として、今なお「隠れた名作」の筆頭に挙げられるタイトルです。
『機械化軍隊』はオリジナル作品ですが、ゲームシステムは90年代後半に隆盛を極めたPC用RTS(リアルタイムストラテジー)の文法を忠実に踏襲しています。資源を集めて軍備を整え、敵を圧倒するこのジャンルは、現在でもeスポーツの主要ジャンルとして世界中で愛されています。













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