『After… 〜忘れえぬ絆〜』は、登山事故をきっかけに主人公・高鷲祐一の魂が肉体を離れ、他者の身体に憑依する異常事態を描いたアドベンチャーゲーム。物語は二部構成で、第1部では学園生活を通じて人間関係が描かれ、第2部では憑依後の展開が中心となる。選択によって分岐が発生し、条件を満たすことでアナザーストーリーが追加される。

舞台は霧ヶ杜学園。主人公の祐一は、ワンダーフォーゲル部に所属する高校3年生。冬の日本アルプス・穂高縦走を最後の登山として、部員の滝谷紘太郎、我孫子慶生、妹の渚、紘太郎の幼馴染である喜志陽子、そして祐一の幼馴染・汐宮香奈美と共に出発する。登山中に事故が発生し、祐一の意識は肉体を離れ、他者の身体に憑依する状態となる。

第1部では、事故前の日常が描かれる。登場人物との交流や選択肢によって関係性が変化し、後半の展開に影響を与える。選択は日付ごとに提示され、行動の積み重ねによってルートが分岐する。特定の条件を満たすことで第2部に進行可能。

第2部では、憑依後の状況が展開される。祐一は他者の身体で目覚め、自身の存在を伝える方法を探る。憑依先の人格との衝突、周囲との関係の再構築、そして魂の融合か消滅かという分岐が用意されている。過去の選択や関係性によって結末が変化し、条件を満たさなければ祐一は完全に消滅する。

原画はいとうのいぢが担当。キャラクターの表情や動作に細かな変化が描かれている。音楽は場面ごとに構成が切り替わり、緊張が高まる場面では低音が強調される。セーブ制限が導入されており、選択を誤った場合でも直前に戻ることができない場面が存在する。選択の積み重ねが物語の展開に直結する構造となっている。

第2部を終えると、アナザーストーリーが解放。そこでは本編とは異なる視点や展開が描かれ、登場人物の背景や関係性に新たな情報が加わる。複数のルートを通じて、物語全体の構造が明らかになる設計。繰り返しのプレイによって、断片的だった要素がつながり、全体像が見えてくる構成となっている。