『es(エス)』は、2001年にドリームキャスト向けに発売された実写映像ベースのサイコサスペンス・アドベンチャーゲームである。プレイヤーは、他人の記憶に潜入できる特殊能力を持つ少年として、意識不明となった警部・日下部清竹の記憶を辿り、連続誘拐殺人事件の真相と行方不明の少女・橘由美の救出を目指す。

ゲームは全編が実写映像で構成され、俳優・三上博史、釈由美子、酒井若菜、岩城滉一ら豪華キャストが出演。記憶の断片を探索することで物語が進行し、プレイヤーの選択によって分岐やゲームオーバーが発生する。記憶の深層へと潜る「サイコダイブ」や、映像と音声による演出が緊張感を高めており、推理と心理描写が融合した構成となっている。

操作は視点移動と対象選択によって進行し、画面上にコマンド表示はなく、直感的な探索が求められる。記憶の中にはプロテクトされた領域も存在し、解除することで新たな情報が得られる。ビジュアルメモリとの連動による警告表示や、失敗時のバッドチューニング演出など、ドリームキャストならではの機能も活用されている。

全体としては、実写映像とゲーム性を融合させた意欲作であり、サイコスリラーとしての緊張感と、記憶を辿る構造による没入感が高く評価されている。プレイヤーは、事件の真相と人間の深層心理に迫る体験を通じて、記憶の闇に挑むこととなる。