2000年12月21日にアーベルからドリームキャスト向けに発売された「探偵紳士DASH!(たんていしんしダッシュ)」は、ハードボイルドな探偵アドベンチャーゲームとして、探偵紳士シリーズの第1弾をコンシューマー機に移植した作品です。主人公の探偵が謎の事件に挑むストーリーを軸に、情報収集と推理を組み合わせたゲーム性が特徴で、シリーズの基盤を築きました。ドリームキャストのグラフィックスを活かしたビジュアルと、選択肢による分岐展開が、緊張感あるナラティブを支えます。原作のシナリオを菅野ひろゆきが手がけ、ミステリー要素の強い世界観が魅力です。

物語は、探偵事務所を営む主人公が、複雑に絡み合う事件に巻き込まれるところから始まります。個性豊かな容疑者や関係者との会話を通じて手がかりを集め、隠された真相を暴いていきます。シリーズの特徴である「不確定世界」の設定を反映し、証言の矛盾や偽情報を検証する過程で、プレイヤーの判断が結末を左右します。ドリームキャスト版では、PC版からの移植としてCGを強化し、CG達成率100%を目指すやり込み要素を追加。メイド服姿のキャラクターが登場する特別シーンも用意され、ファン向けのサービスが散りばめられています。後続シリーズへの橋渡しとして、キャラクターの関係性や用語集が物語の深みを増します。

システムは、会話選択と証拠提示を基調とし、タウンマップを活用した移動と調査が中心となります。人物相関図を参考にしながら、プルーフ・ターゲットシステムの原型となる推理メカニクスで事件を解決。ドリームキャストのコントローラー対応で直感的な操作を実現し、複数のエンディングを目指すリプレイ性を高めました。BGMのジャジーなアレンジと心理描写の細やかさが、ハードボイルドな雰囲気を強調。発売当時はアダルト要素を含むアドベンチャーとして一定の支持を集め、シリーズの人気をドリームキャストユーザー層に広げました。