『サンライズ英雄譚』は、1999年12月2日にドリームキャスト向けに発売されたクロスオーバー型対戦RPGで、サンライズインタラクティブが開発・発売を手がけました。サンライズ作品のキャラクターやメカが多数登場するシリーズの第1作であり、後の『英雄譚R』『2』『SWW』『3』へと続く基盤を築いた作品です。
舞台は、物質を焼き尽くす性質を持つ雲海「クラウドストリーム」に覆われた惑星サンライズ。主人公カンジ・アカツキは、クラウディア大陸のクラウドシップ「アスタンテ」に乗り、突如現れた光の柱と異世界からの侵略に立ち向かう旅に出ます。途中で出会う記憶喪失の少女ルン・フォレストや、各大陸で出会うサンライズ作品の英雄たちと共に、次元を超えた戦乱の謎を追っていく構成です。
ゲームシステムは、艦隊編成とカードバトル風の対戦RPGを融合させた独自の形式で、プレイヤーは母艦に艦載機とパイロットを搭載し、敵母艦の撃破を目指します。戦闘はリアルタイムではなく、エネルギー管理と出撃タイミング、ユニットの特性(飛行・格闘・対空・突破など)を活かした戦術が求められます。主人公機「インパルス7(クラウドセイバー)」は飛行属性を持ち、敵母艦への直接攻撃が可能な高性能機として設定されています。
登場作品は『機動戦士ガンダム』『装甲騎兵ボトムズ』『聖戦士ダンバイン』『蒼き流星SPTレイズナー』『勇者王ガオガイガー』など、当時のサンライズ代表作を中心に構成されており、敵味方問わず多数のキャラクターが仲間になります。特に、黒い三連星やキシリア・ザビ、バーン・バニングスなど、原作では敵だったキャラも自軍に加わる点が大きな魅力です。
演出面では、3Dモデルによる戦闘カットインや、松本梨香が歌う主題歌「GET A DREAM」などが印象的ですが、DC版ではキャラクターボイスは未収録で、後のPS2版『英雄譚R』で追加されました。また、DC版では登場作品が限定されており、『R』以降で『カウボーイビバップ』『ライジンオー』などが追加されることになります。
ゲームバランスはやや粗削りで、戦闘のテンポや部隊編成の煩雑さ、属性相性の偏り(特に「飛・格」ユニットの強さ)などが指摘されましたが、サンライズ作品のクロスオーバーを本格的に実現した初の試みとして、資料的・歴史的価値の高いタイトルです。
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