『SUPER NAXAT OPEN ゴルフで勝負だ! どらぼっちゃん』は、魔界のプリンスが繰り広げるハチャメチャなバトルゴルフと、ストイックな本格シミュレーションが見事に(そして奇妙に)同居したゴルフゲームの異色作。1994年3月18日にナグザットからスーパーファミコンで発売され、同社の看板キャラクター「どらぼっちゃん」を起用した親しみやすい外見の中に、硬派なゴルフエンジンの髄を詰め込んだ一本として展開されました。
本作の最大の特徴は、全く毛色の異なる2つのモードを搭載している点にあります。メインとなる「どらぼっちゃんモード」では、魔界を舞台に個性豊かな妖怪たちと対戦します。ここでは必殺ショットや妨害アイテムといったゲーム的なギミックが満載で、プレイヤーはキャディとなるパートナーを選び、彼らの特殊能力を借りながら賑やかなラウンドを楽しみます。キャディとの相性や育成要素もあり、キャラゲーとしての楽しさが前面に押し出されています。
しかし、もう一つの「NAXAT OPENモード」に切り替えると、ゲームの雰囲気は一変します。こちらは純粋な実力勝負の世界であり、キャラクターの特殊能力やアイテムは一切排除されます。風向きや芝目を読み、クラブ選択とインパクトのタイミングだけでスコアを競う、極めて真面目なゴルフシミュレーターとなります。前作にあたるPCエンジン版『ナグザットオープン』の硬派なシステムを継承しており、可愛いキャラゲーだと思って手を出したプレイヤーを、そのシビアな難易度で返り討ちにするほどの本格仕様です。
ビジュアル面では、コミカルなドット絵で描かれたどらぼっちゃんたちが愛らしく、ホールインワンなどの演出も派手で爽快感があります。一方で、ゴルフ部分の挙動は物理演算に基づいたリアル寄りなものであり、ファンシーな見た目と骨太な中身のギャップが本作のユニークな個性となっています。
『どらぼっちゃん』は、1990年にPCエンジンで発売されたアクションゲーム『魔界プリンス どらぼっちゃん』の主人公です。ナグザットのマスコットキャラクターとして愛され、本作以外にも『超魔界大戦!どらぼっちゃん』など複数のタイトルで主役を務めました。













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