『m[emu]〜君を伝えて〜』は、3人のヒロイン候補との「交換日記」を通じて愛を育む、異色の恋愛シミュレーションゲーム。1996年12月20日にPlayStation版とセガサターン版がネクサスインターラクトから同時発売されました。

本作は、一般的なデートや会話コマンドではなく、「日記のやり取り」をメインシステムに据えた作品です。プレイヤーは高校2年生の主人公となり、幼馴染の「武蔵野香」、後輩の「神谷高美」、先輩の「羽田みゆき」の中から1人をパートナーに選び、9月からクリスマスイブまでの3ヶ月間、毎日日記を交換します。日記の内容は選択肢によって変化し、相手の好感度や主人公のパラメータ(学力、容姿など)に影響を与えます。文字だけのコミュニケーションを通じて、相手の意外な一面を知ったり、すれ違いに悩んだりと、当時の学生生活ならではの「手書きの距離感」が再現されています。

ヒロインのキャラクターデザインは、90年代のアニメ的な塗りと独特のデフォルメが施されたビジュアルで描かれており、静止画中心の画面構成となっています。特筆すべきは、メインヒロインである武蔵野香のボイスを、当時『天空のエスカフローネ』などでブレイク中だった坂本真綾さんが担当している点です。一見すると地味なシステムですが、物語の後半にはヒロインごとの衝撃的な展開(例えば、実は幽霊だった、宇宙人だったなど)が待ち受けており、単なる純愛モノに収まらない「超展開」が一部のゲームファンの間で語り草となっています。

本作のメインヒロイン役を務めた坂本真綾さんは、発売当時は現役の女子高生声優として注目を集めていた時期にあたります。本作のようなマイナーなタイトルにも出演していたことは、彼女のキャリア初期における貴重な記録といえます。開発元のネクサスインターラクトは、本作以外にも『お嬢様を狙え!!』などの美少女ゲームをリリースしていましたが、その活動期間は短く、現在では知る人ぞ知るメーカーとなっています。

坂本真綾 初期アルバム作品

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