『デジタルピンボール ネクロノミコン』は、1996年にセガサターン向けに発売されたピンボールシミュレーションゲームであり、KAZeが開発・発売を担当した「デジタルピンボール」シリーズの第2作にあたります。本作は、クトゥルフ神話をモチーフにした世界観を採用しており、従来のピンボールゲームでは実現不可能な演出やギミックを積極的に取り入れた構造が特徴です。特に、台の装飾が変形する演出や最大7球によるマルチボールなど、視覚的・操作的な刺激が強化された設計となっています。
収録されている台は「ARKHAM」「CULT OF THE BLOODY TONGUE」「DREAMLANDS」の3種類で、それぞれ異なる難易度と演出が設定されています。プレイヤーは任意の台を選んでプレイするモードのほか、3台を順番に攻略する「REALMS MODE」に挑戦することが可能です。REALMS MODEでは、各台に設定されたクリア条件を満たすことで次の台へ進行できる構造となっており、ストーリー性と達成感を両立させた設計が施されています。
本作の演出面では、透明度の高いランプレーンや背景と融合したディスプレイ表示など、セガサターンの高解像度表示機能を活かした設計が採用されています。特に「DREAMLANDS」では、幻想的なサウンドと異世界的な台構成が融合しており、演出面での完成度が高いと評価されています。また、ジャックポット達成時の演出やフィーチャーラウンドの展開など、プレイ中のテンションを高める要素が多数導入されています。
音楽面では、ドリーム・シアターのジョン・ペトルーシがオープニング楽曲を担当しており、メタル系の重厚なBGMが世界観と高い親和性を持っています。効果音も前作より強化されており、フリッパーやボールの挙動に対する反応が鮮明に再現されています。全体として、リアルな物理挙動と非現実的な演出が融合した構造により、ピンボールゲームとしての完成度と独自性を両立させた作品です。
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