1994年は、家庭用ゲーム機の世代交代が本格化し、ゲーム業界全体が大きく動いた年です。ソニーの『プレイステーション』とセガの『セガサターン』が相次いで発売され、CD-ROMと3Dグラフィックを標準とする時代が到来しました。アーケードでは『バーチャファイター2』や『鉄拳』など、3D格闘ゲームが主力となり、ポリゴン表現が一般化していきます。
一方で、任天堂のスーパーファミコンは依然として高いシェアを維持しており、『スーパードンキーコング』などのヒット作を生み出しました。しかし年末には“次世代機戦争”が始まり、ゲームの作り方・売り方・遊ばれ方が大きく変わる転換点となりました。
CD-ROMを採用した多機能ゲーム機。
『3DO REAL』は、アメリカの3DO社が設計し、松下電器が日本国内で販売した32ビット機です。CD-ROMを採用し、映像や音声の再生に強みを持っていましたが、価格が高く(5万4800円)、キラータイトルの不足もあり普及には苦戦しました。
この機種は、ゲーム機が“マルチメディア端末”として設計され始めた初期の例でもあり、後のプレイステーションやセガサターンの方向性に影響を与えました。
アーケード移植を重視した32ビット機。
『セガサターン』は、セガが開発した32ビットの家庭用ゲーム機で、CD-ROMを採用し、2D描画に強みを持ちながら3Dにも対応した構成が特徴です。ローンチタイトルには『バーチャファイター』が用意され、アーケードの人気作を家庭で遊べることが大きな魅力となりました。
セガはこの機種で、アーケードと家庭用の連携を強化し、“セガらしさ”を前面に出す戦略を取りました。
CD-ROMと3Dを標準にした新世代機。
『プレイステーション』は、ソニーが初めて発売した家庭用ゲーム機です。CD-ROMを採用し、3Dポリゴン描画に特化した設計で、開発のしやすさとコストの低さが特徴でした。ローンチタイトルには『リッジレーサー』『A列車で行こう4』『麻雀悟空 天竺』などが並び、幅広いジャンルに対応していました。
ソニーはこの機種で、サードパーティーへの開発支援や流通戦略を強化し、ゲーム業界に新たな競争軸を持ち込みました。
3D格闘の完成形。
『バーチャファイター2』は、セガのMODEL2基板を使用した3D格闘ゲームです。前作から大幅にグラフィックが向上し、60fpsの滑らかな動きとテクスチャ付きポリゴンによる表現が話題を呼びました。
この作品は、アーケードにおける3D格闘の完成形とされ、セガサターン版の移植も大ヒットを記録しました。
ナムコの3D格闘参入。
『鉄拳』は、ナムコが開発した3D格闘ゲームで、プレイステーションと同じシステム11基板を使用しています。各ボタンが四肢に対応する操作系や、リアルなモーションキャプチャによる動きが特徴でした。
この作品は、ナムコの3D技術と格闘ゲームの融合を示すものであり、以降のシリーズ化とプレイステーションとの連携により、ナムコの家庭用展開を加速させました。
1994年は、CD-ROMと3Dグラフィックが標準化し、ゲームの表現力と開発環境が大きく変化した年です。任天堂・セガ・ソニーの三つ巴の構図が生まれ、“次世代機戦争”の幕開けとなりました。ゲームは“どこで遊ぶか”から“どの世界に没入するか”へと進化し、エンターテインメントとしての地位をさらに高めていきます。
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