『オラクルの宝石』(原題:Jewels of the Oracle)は、1996年にサンソフトより発売されたPlayStationおよびセガサターン用パズルアドベンチャーゲームであり、シュメール文明以前に存在したとされる幻の超古代文明を舞台にした知恵と論理の作品です。プレイヤーは遺跡を探索する冒険者となり、神秘的な「オラクル(神託所)」に隠された24の謎を解き明かして、失われた宝石の輝きを取り戻すことに挑戦します。

本作は『MYST』の影響を受けた一人称視点の探索型ゲームですが、広大な移動や複雑なストーリーよりも、純粋なパズル解読に特化した設計がされています。井戸を中心とした広間から各部屋へ移動し、そこに設置された古代の装置や盤面に向き合い、直感と論理的思考を駆使して仕掛けを動かすというストイックなプレイスタイルが提供されます。

各部屋のパズルには説明文やチュートリアルが一切なく、装置の動きや反応からルールを推測しなければなりません。簡単なものから極めて難解なものまで難易度は幅広く、古代の静謐な空気感と環境音が漂う中で、プレイヤー自身のひらめきだけを頼りに謎に挑む没入感が味わえます。

美しいプリレンダリングCGで描かれた遺跡内部は、幻想的でありながらどこか孤独な雰囲気を醸し出しています。ヒント機能としてオラクルの神託を聞くことはできますが、最終的にはプレイヤーの知性が試される作りとなっており、全ての宝石を集めた者にのみ訪れる結末を目指して思考を巡らせる時間が体験されます。

本作はカナダのELOI Productionsによって開発されたオリジナルのパズルゲームであり、海外では『Jewels of the Oracle』としてPC版が先行してリリースされました。日本国内においてはサンソフトがコンシューマー移植版を販売し、硬派なパズルファンに向けた知的なタイトルとして展開されています。

オラクルの宝石