【1990年のゲーム史】 「次世代」が現実になった年

【1990年のゲーム史】 「次世代」が現実になった年 1

1990年、ゲームは「次世代」という言葉を、もはや予告ではなく“現物”として提示し始めました。任天堂は『スーパーファミコン』で16ビット時代を本格化させ、NECとハドソンはCD-ROM²で演出の密度を押し出し、SNKは『NEOGEO』でアーケードと家庭用の境界を溶かしにかかります。

一方で、セガは『ゲームギア』で“カラー携帯機”という先行投資を打ち、NECは『PCエンジンGT』で「据え置きの携帯化」という逆転の構造を試みました。アーケードでは『雷電』『マジックソード』『パロディウスだ!』などが、“難しさ”ではなく“惹きつけ方”の設計に舵を切ります。ゲームはこの年、「何ができるか」ではなく、「どこまでやるか」を選ばされる産業になりました。

4月26日 家庭用『NEOGEO』(SNK)発売

“業務用の家庭化”という逆転。

SNKが放った『NEOGEO』は、アーケード基板と同一仕様の家庭用ハードでした。価格は本体5万円、ソフトは2〜3万円という高額設定ながら、“ゲーセンそのまま”を家で遊べるという一点突破で、コア層に強烈な印象を残します。

この構造は、のちの『餓狼伝説』『KOF』シリーズへとつながり、SNKの“格ゲー文化”の母体となっていきます。NEOGEOは普及台数ではなく、“文化の濃度”でゲーム史に刻まれたハードでした。

6月28日 家庭用『ゲームギア』(セガ)発売

カラー液晶は、先に出すだけでは勝てない。

セガが投入した『ゲームギア』は、ゲームボーイに対抗するカラー携帯機でした。バックライト付きのフルカラー液晶、テレビチューナー対応、そして『ソニック』以前のセガIP群を移植可能という構成。

しかし、電池持ちの悪さと価格の高さが足を引っ張り、ゲームボーイの牙城を崩すには至りませんでした。性能で勝っても、設計思想で負ける。携帯機における“勝ち筋”が、単なるスペックではないことを証明してしまったのは、むしろセガ自身でした。

7月13日 家庭用『PCエンジンGT』(NEC)発売

「据え置きがそのまま動く」携帯機。

PCエンジンGTは、PCエンジンのHuカードソフトがそのまま動く携帯機でした。画面はカラー、音声はステレオ、操作感も据え置きと同等。“持ち運べる家庭用”という意味では、ゲームギア以上に“未来”を先取りしていたハードです。

ただし、価格は4万円超、電池は2〜3時間で切れる。性能と引き換えに、実用性を手放したこの機体は、商業的には成功しなかったものの、「携帯機の理想形とは何か」を問いかけた存在として、今も語られ続けています。

11月21日 家庭用『スーパーファミコン』(任天堂)発売

“次世代”が、現実になった日。

ファミコンから7年、任天堂が満を持して投入した16ビット機。『F-ZERO』『スーパーマリオワールド』というローンチタイトルは、「滑らかに動く」「奥行きがある」「音が広がる」という、“次世代”の感覚をプレイヤーに一発で伝えるものでした。

この時点で、セガの『メガドライブ』はすでに2年先行していましたが、任天堂は「性能」ではなく「設計思想」で勝負を挑み、結果として“家庭用の基準”を再定義することに成功します。ここから、ゲームは「何ビットか」ではなく、「何を設計したか」で語られる時代に入っていきます。

年内 アーケード『雷電』『マジックソード』『パロディウスだ!』など稼働

“難しさ”ではなく、“惹きつけ方”の設計へ。

この年のアーケードは、演出と難易度のバランスを再設計した作品が目立ちました。『雷電』はシンプルながらも硬派なシューティングとして人気を博し、『マジックソード』は多人数キャラと協力要素を導入、『パロディウスだ!』は“笑えるグラディウス”として、演出と遊び心を融合させました。

アーケードはこの時期、単なる“難しさ”ではなく、「どう見せるか」「どう惹きつけるか」を意識した設計へと移行しつつありました。だがそれは、家庭用の“演出力”が追いついてきたことへの、無言の焦りでもありました。

1990年、ゲームは「次世代」という言葉を、もう未来の約束ではなく、“今ここにある現実”として提示し始めました。性能で押す、演出で魅せる、語りで引き込む――そのすべてが、すでに動き出していたのではありません。すでに、選ばれ始めていたのです。

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コメント

  • 匿名 says:

    ## 感想、体験談など

    SFCとストIIはマジで革命だった!グラフィックも音楽も、ファミコンとは別次元。友達とストIIでケンカしまくったのも良い思い出。春麗最強!

    SFC発売は衝撃だったな。マリオワールドはしばらく友達と毎日やってた。F-ZEROのスピード感も凄かった。でも、ストIIの隆盛は異常だった。ゲーセンが熱かった時代!

    1990年、SFCとストIIか。時代を感じるね。当時は格ゲー下手くそだったけど、友達とワイワイやるのが楽しかった。今でもたまにバーチャルコンソールで遊んでるよ。

    SFCマジ神!ストIIもゲーセンでめっちゃやった!波動拳コマンド出すの苦労したなぁ。でも、友達に勝つのが嬉しかったんだよね。良い時代だった。

    スーパーファミコン…あれはズルい(笑)グラフィックが綺麗すぎて感動したもん。ストIIは友達と対戦しまくって、親にうるさいって怒られたなぁ。

    1990年かぁ。SFCは衝撃的だったけど、個人的にはメガドライブ派だったな。サンダーフォースII MDとか、めちゃくちゃやり込んだ記憶。

    SFCとストIIは外せないよね!SFCはグラフィックが綺麗だったし、ストIIはキャラが魅力的だった。特に春麗が好きだったなぁ。

    ストIIはマジで社会現象だった!ゲームセンターが人で溢れかえってたもん。必殺技出すの難しかったけど、出す時の快感がたまらなかった!

    SFCはマリオワールドが楽しかった!ストIIは友達と対戦しまくったなぁ。リュウ使ってたけど、ケンにボコボコにされてた記憶しかない(笑)

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