『インジャスティス:神々の激突』は、DCコミックスのヒーローたちが「正義とは何か」を巡って激しくぶつかり合う、異色の対戦型格闘ゲームです。物語は、ジョーカーによる陰謀でスーパーマンがロイス・レインを失い、メトロポリスが壊滅するという衝撃的な事件から始まります。スーパーマンはその悲劇をきっかけに「ワンアース政府」を設立し、犯罪者を容赦なく処刑する独裁者へと変貌。一方、バットマンは自由を守るため反政府軍を結成し、かつての仲間たちと対立する道を選びます。
登場キャラクターは、バットマン、スーパーマン、ワンダーウーマン、フラッシュ、ハーレイ・クインなどDCの代表的なヒーロー・ヴィランが勢揃い。各キャラは思想や立場に応じた戦闘スタイルを持ち、たとえばフラッシュは高速移動による連撃と位置操作を軸にした設計で、プレイヤーの反応速度が試されます。ハーレイ・クインは奇襲と撹乱を得意とし、予測不能な動きで相手を翻弄する構造が組み込まれています。DLCではスコーピオン(モータルコンバットより)やゾッド将軍などが追加され、戦術の幅がさらに広がります。
本作は、DCユニバースのマルチバース設定を活用し、並行世界のヒーローたちが異なる結末へと進むストーリー構造を採用しています。プレイヤーは善悪の境界が曖昧な状況下で選択を迫られ、戦闘を通じてキャラクターの信念や立場を理解していくことになります。ステージには環境ギミックが多数配置されており、上下階層の移動やオブジェクトの活用によって、戦術的な選択肢が豊富に用意されています。
さらに本作は、ゲーム本編の5年前を描いたコミックシリーズ『Injustice: Gods Among Us』としても展開されており、スーパーマンとバットマンの決別や「ワンアース政府」設立の経緯が詳細に描かれています。2021年にはアニメ化も実現し、ゲームの世界観が映像作品として再構築されました。音楽面では、ゲームのクリエイターが演出に参加し、重厚なオーケストレーションによってキャラクターの葛藤や戦闘の緊張を支えています。こうしたメディア横断的な展開が、作品の厚みと魅力をさらに引き上げています。
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