『月影の鎖』シリーズ、2012年にTAKUYOから第1作が発売され、PlayStation Portable、PlayStation Vita、Nintendo Switchへと展開し続ける依存/依存被・恋愛アドベンチャーゲーム。閉鎖的な孤島「紅霞市(こうかし)」を舞台に、因習と利権、そして歪んだ愛憎劇に巻き込まれる若者たちの狂気を描いた、陰鬱で美しい和風サイコサスペンス作品群となっています。

本編となる『月影の鎖 -錯乱パラノイア-』では、小料理屋を営む主人公・冬浦めぐみが、兄の死をきっかけに島を揺るがす「リゾート開発」と「駐屯地移転問題」の渦中へと放り込まれます。閉塞感漂う島の中で、幼馴染や軍人といった男性たちと関わりながら、彼女は平穏を求めて足掻きますが、その選択は次第に互いを縛り付ける「鎖」へと変わっていきます。最大の特徴は、好感度の他に存在する「依存度」パラメータです。選択肢によって精神的な均衡が崩れ、相手に依存するか、されるかという関係性の変化が、物語を破滅的な結末へと導くこともあります。

ファンディスクであり続編の『月影の鎖 -狂爛モラトリアム-』では、本編のハッピーエンド後の物語が描かれます。一見平穏を取り戻したかに見える島で、再び発生する不穏な事件や、解決していない心の闇が浮き彫りになります。より深化した「依存」と「執着」、そして新たな狂気が描かれ、幸せの絶頂から奈落へと突き落とされるような、シリーズ特有の容赦ないシナリオ展開を堪能できます。

逃げ場のない島で、愛するがゆえに壊れていく心。ハッピーエンドでさえもどこか仄暗さを残す、TAKUYOブランドならではの退廃的で美しい世界観に深く浸れるシリーズです。

本作は、独自の暗い作風で知られるゲームブランドTAKUYOが制作した完全オリジナル作品です。閉鎖的な孤島を舞台にした重厚なシナリオと、ヒロセアヅミ氏による美麗なキャラクターデザインが特徴で、一般的な乙女ゲームの枠に収まらないサスペンスフルな展開が一部の層から熱狂的な支持を受けています。

月影の鎖