『ふゆから、くるる。』、2023年5月25日にエンターグラムから発売されたPlayStation 4およびNintendo Switch対応のサスペンスアドベンチャーゲーム。四方を鉄の壁に囲まれた「冬」しかない閉鎖世界を舞台に、不死身の肉体を持つ少年と、春・夏・秋の名を持つ少女たちが織りなす、過酷で美しい生存競争を描いたミステリー作品となっています。
物語の舞台は、雪が降り続く極寒の世界です。人類の天敵である「影」の脅威に晒されながら、主人公・坂木雪弥は、外界と隔絶されたシェルターのような場所で3人の少女たちと共同生活を送っています。食料も尽きかけた絶望的な状況下で、彼らは生き延びるために「ある手段」を選びます。それは、不死身の再生能力を持つ主人公の身体を、少女たちが「食べる」ことでした。
本作最大の特徴は、カニバリズムを想起させる衝撃的な設定と、そこから展開される緻密なミステリーです。なぜ世界は冬に閉ざされたのか、なぜ主人公は死なないのか、そして少女たちが隠している秘密とは何か。平和な学園生活のように振る舞いながらも、その裏で進行する異常な日常と、徐々に明かされていく世界の真実が、プレイヤーを戦慄させます。
シナリオライター・渡辺涼介氏が得意とする、巧妙に張り巡らされた伏線と驚愕のどんでん返し。狂気と純愛が混ざり合う、美しくも残酷な「冬」の終わりの物語を楽しむことができます。
本作は、美少女ゲームブランド「シルキーズプラス」から2021年に発売されたPC用18禁アドベンチャーゲーム『ふゆから、くるる。』のコンシューマー移植版です。独特の設定と伏線回収の巧みさで評価の高いシナリオライター・渡辺涼介氏の企画・脚本作品であり、同ブランドの『なついろレシピ』『あきゆめくくる』に続く、季節をテーマにした連作の集大成的な位置づけとなっています。












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