『ザ フレンズ オブ リンゴ イシカワ & アレスト オブ ア ストーン ブッダ』は、ロシアの個人開発者yeo氏が手掛けた2つのアクションゲームを一本にまとめたパッケージソフト。2021年01月28日にフライハイワークスからNintendo Switchで発売されました。収録されているのは、日本の不良文化への憧憬が詰まったオープンワールドアクション『The friends of Ringo Ishikawa』と、1970年代フランスを舞台に殺し屋の日常を描く『Arrest of a stone Buddha』の2作品です。全く異なる舞台設定でありながら、どちらも「実存主義」や「哀愁」といった共通のテーマを扱っており、作者の強い作家性が反映された硬派な男たちの物語が描かれています。
『The friends of Ringo Ishikawa』は、高校3年生の不良グループリーダー「石河倫吾」となり、卒業までの最後の秋を過ごす「つっぱり青春シミュレーション」です。街を探索して他校生と喧嘩に明け暮れるもよし、真面目に勉強して奨学金を得るもよし、あるいは学校をサボって卓球やビリヤードに興じるもよしと、明確な目的のない自由な時間を過ごします。一方、『Arrest of a stone Buddha』は、プロの殺し屋として標的を始末する激しい銃撃戦のアクションパートと、カフェや映画館で虚無的な時間を過ごす日常パートを交互に繰り返すノンストップアクションです。こちらは敵の腕を折って武器を奪うなどのバイオレンス描写と、淡々と過ぎ去る時間の対比が特徴的です。
本作の独自性は、レトロなドット絵スタイルでありながら、説明を極力排除した映画的な演出と哲学的なテキストにあります。どちらの作品も、プレイヤーに対して「どう生きるか」「時間をどう使うか」を問いかけるような構成になっており、単なるアクションゲームの枠を超えた没入感を提供します。BGMや環境音へのこだわりも深く、気怠げなジャズや環境音が醸し出す独特の空気感は、yeo氏の作品ならではの魅力と言えます。
開発者のyeo氏は、日本の『くにおくん』シリーズや北野武監督の映画作品から多大な影響を受けています。特に『The friends of Ringo Ishikawa』における暴力と静寂のコントラストや、独特の「間」の表現は、北野映画の傑作『ソナチネ』などに通じるものがあります。ゲームの背景にある美学をより深く理解したい方は、これらの映像作品に触れることで、作者が目指した表現の源流を知ることができます。













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