『リトルタウンヒーロー』は、ポケットモンスターシリーズで知られるゲームフリークが手がけた完全新作RPGです。舞台は外界と隔絶された小さな村。主人公ピッケルは、村の炭鉱で見つけた「不思議な石」の力を手に入れ、突如現れたマモノに立ち向かうことになります。物語は、村の秘密や「石」の正体に迫る展開を通じて、閉ざされた世界の中で少年が成長していく過程を描いています。舞台設定とストーリーは、牧歌的な雰囲気と緻密な構成を両立させており、プレイヤーに穏やかでありながらも緊張感のある体験を提供します。
本作の最大の特徴は、デジタルカードゲーム(DCG)をベースにした独自のバトルシステムです。プレイヤーは「アイデア」と呼ばれるカード状の思考を駆使して戦います。アイデアは「フワット」から「ガチット」へと変化させることで使用可能となり、攻撃・防御・特殊効果の3タイプに分類されます。ターンごとに与えられる「キリョク」を消費してアイデアを展開し、相手のガチットをブレイクすることでチャンスターンを獲得。このタイミングでのみ、相手のライフに直接攻撃が可能となる構造が採用されています。戦闘はテンポこそ緩やかですが、戦略性とリソース管理の緊張感が際立つ設計となっています。
バトルフィールドは村全体に広がっており、ターン終了時にはルーレットによって移動先が決定されます。移動先では村人からのサポートやギミックの活用が可能で、戦況を大きく左右する要素となります。また、戦闘に敗北しても「ヒラメキ」を獲得できる救済措置が用意されており、アイデアの強化や戦術の再構築を促します。難易度は「てごわい」と「ひかえめ」から選択可能で、DCG初心者でもストーリーを楽しめるよう配慮されています。これにより、プレイヤーの熟練度に応じた柔軟なプレイスタイルが成立します。
音楽面では、『UNDERTALE』のToby Fox氏とポケモンシリーズの佐藤仁美氏が共同で楽曲を制作。全37曲に及ぶBGMは、戦闘の緊張感や物語の情緒を巧みに彩ります。サウンドトラックはパッケージ版の特典として提供され、作品の世界観をより深く味わうことが可能です。全体として『リトルタウンヒーロー』は、RPGとDCGの融合を志向し、戦略性と物語性を両立させた意欲作として位置づけられます。
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