『Wolfenstein: Cyberpilot(ウルフェンシュタイン:サイバーパイロット)』は、2019年にBethesda Softworksより発売されたVR専用のファーストパーソン・アクションシューティングで、ナチス占領下の1980年パリを舞台に、レジスタンスの一員としてナチスの兵器をハッキングし、破壊活動を展開するという異色のスピンオフ作品です。開発はArkane StudiosとMachineGamesが共同で手がけており、『Wolfenstein II: The New Colossus』と世界観を共有しつつも、プレイヤーの視点と体験を大胆に変化させた構成が特徴です。

プレイヤーは“最高のハッカー”として、ナチスの戦闘マシンを遠隔操作し、火炎放射やガトリング砲、体当たりなどの武装を駆使して敵を蹴散らしていきます。操作対象となる兵器は、四足歩行のパンツァーハウンドや空中浮遊型のゾンメックなど複数存在し、それぞれに異なる戦術と操作感が用意されています。VRならではの没入感を活かし、コックピット内のレバーやスイッチを実際に操作することで兵器を起動・制御する演出が施されており、まるで巨大兵器の内部に乗り込んだかのような臨場感が味わえます。

ゲームは全体として短編構成で、4つの主要ミッションを軸に展開されます。各ミッションは異なる兵器を操作し、敵拠点の制圧や護衛任務などを遂行していく内容で、一本道ながらも演出の密度が高く、短時間で濃密な体験ができるよう設計されています。戦闘は比較的易しめで、敵の攻撃は前方に集中し、プレイヤーは無限の攻撃手段と回復手段を持つため、爽快感重視の設計となっています。

グラフィックはVR向けに最適化されており、金属の質感や火炎放射のエフェクトなど、SF的な演出が高く評価されています。特に基地内の移動や兵器整備のシーンでは、サイバーな演出とメカニカルなディテールが融合し、SFメカ好きにはたまらない空間が広がります。一方で、プレイ時間は2〜3時間程度と短く、リプレイ性や自由度は控えめなため、あくまで“VR体験型スピンオフ”として楽しむのが適しています。