『星の欠片の物語、ひとかけら版』は、2018年1月26日にメディアスケープより配信されたPlayStation 4(PlayStation VR専用)用コミュニケーション謎解きアドベンチャーゲームであり、ノベルゲームの新たな表現を模索する「自転車創業」が手掛けたVR専用タイトルです。プレイヤーは、砕け散った星の欠片に取り残された一人の少女と、「平行世界を覗き見る装置(VRシステム)」を通じて接触し、力を合わせて脱出を目指します。
本作の最大の特徴は、コントローラーのボタンを一切使用せず、VRヘッドセットの動きによる「視線」だけで全ての操作を行うゲームシステムです。プレイヤーは平行世界に物理的に干渉することができず、身動きも取れない存在として設定されており、ただ一点を見つめる「フォーカスロック」を行うことで、少女に指示を出したり、気になる物体を教えたりすることが可能です。
「VRでできないこと」をそのまま「ゲーム内の設定」として取り込むことで、没入感を極限まで高める設計がなされています。手が届かないもどかしさや、視線を交わすことでしか意思疎通できない不自由さが、逆に少女との精神的な距離を縮め、互いに協力し合うパートナーとしての絆を深めていきます。
本作はプロローグ版として位置づけられており、後に発売される完結編『しかけ版』へと続く物語の導入部が描かれています。孤独な星の上で、プレイヤーの視線だけを頼りに懸命に行動する少女の姿と、VRならではの「そこにいる」という実在感が、静謐で美しい世界観と共に体験されます。
本作は、『あの、素晴らしい をもう一度』などで知られる同人サークル「自転車創業」が企画・シナリオを手掛けた完全オリジナルのVRゲーム作品です。VR技術の制約を逆手に取った独創的なゲームデザインで構築されており、後に謎解きを一新した完結編『星の欠片の物語。しかけ版』へと続くシリーズの原点として展開されています。












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