『スティクス:シャーズ・オブ・ダークネス』は、フランスのCyanide Studioが開発したステルスアドベンチャーゲームであり、ゴブリンの盗賊「スティクス」を主人公とした異色のダークファンタジー作品です。本作は『Of Orcs and Men』『Styx: Master of Shadows』に続くシリーズ第3作であり、Unreal Engine 4による描画技術を活かした立体的なマップ構成と、ステルス主体のゲームプレイが特徴です。プレイヤーは魔力の源「アンバー」を報酬に、ダークエルフの都市から「大使の杖」を盗み出す契約を結び、陰謀渦巻く世界へと潜入していきます。

ゲームシステムは、3人称視点によるステルスアクションを基盤とし、クローン生成、透明化、罠設置などの特殊能力を駆使して敵の目を欺く構造が採用されています。特に、マップ内の高低差や隠れ場所を活用したルート選択の自由度が高く、プレイヤーの創意工夫によって攻略方法が大きく変化します。敵との正面戦闘は極めて不利であるため、発見されずに任務を遂行することが求められ、ステルスジャンルとしての緊張感と達成感が強調されています。

本作ではオンライン協力プレイにも対応しており、2人目のプレイヤーはスティクスのクローンを操作することで、共同潜入が可能となります。協力プレイでは敵の警戒度やマップ構成が調整され、ソロプレイとは異なる戦術が求められる設計が施されています。また、スキルツリーは「ステルス」「キル」「錬金術」「クローン」「知覚」の5系統に分かれており、プレイヤーのプレイスタイルに応じた能力強化が可能です。これにより、隠密重視や罠活用型など、多様な攻略アプローチが実現されています。

加えて、主人公スティクスの毒舌かつ皮肉混じりの独り言が随所に挿入されており、ダークな世界観にユーモアを添える演出が施されています。敵兵士の会話から世界設定や組織情報を読み取ることも可能であり、物語とゲームプレイが密接に連動する構造が確立されています。結果として、『スティクス:シャーズ・オブ・ダークネス』は、ステルスジャンルの本質を追求しつつ、ファンタジー世界における異端の主人公像を描いた、挑戦的かつ完成度の高い作品といえます。