『英雄伝説 閃の軌跡III』は、2017年9月28日に日本ファルコムよりPlayStation 4向けに発売されたストーリーRPGであり、『軌跡』シリーズ第3期「閃の軌跡」編の第3作目にあたる。2020年にはNintendo Switch版およびSteam版も発売されており、シリーズ初のPS4専用タイトルとして、グラフィック・演出・システムの全面的な刷新が図られている。

物語は、七耀暦1206年のエレボニア帝国を舞台に、前作までの主人公リィン・シュバルツァーが士官学院卒業後、新設された「トールズ士官学院・リーヴス第II分校」の教官として赴任するところから始まる。帝国の中央集権化が進む中、リィンは“灰色の騎士”としての過去と向き合いながら、新たなVII組の生徒たちと共に各地の異変に立ち向かっていく。物語は、帝国の拡張政策、結社《身喰らう蛇》の暗躍、そして古代の遺産にまつわる謎が交錯する重厚な構成となっており、シリーズ全体の核心に迫る展開が描かれる。

ゲームシステムは、従来のコマンド式戦闘をベースにしつつ、「ブレイブオーダー」「ブレイクゲージ」「アサルトアタック」などの新要素が導入され、戦術性とテンポが大幅に向上している。戦闘では、最大4人のパーティに加え、支援キャラや機甲兵による戦闘も実装されており、戦術リンクやクラフト、アーツの活用が求められる。また、フィールド探索では、釣り、カードゲーム「ヴァンテージマスター」、写真撮影、依頼達成などのサブ要素も充実しており、プレイヤーの行動によって絆イベントやエンディングが分岐する構成となっている。

演出面では、キャラクターモデルの刷新、フルボイスイベント、アニメーションOP、シリーズ屈指のBGM群などが高く評価されており、特に3章の「solid as the Rock of JUNO」やエンディングテーマ「嘆きのリフレイン」などはファンの間でも人気が高い。主人公リィンの成長と、新VII組の個性豊かなメンバーたちの関係性、そして旧VII組や過去作キャラとの交錯が、シリーズファンにとって大きな見どころとなっている。