『One Upon Light -影の向こうへ-』は、2015年6月16日にソニー・コンピュータエンタテインメントより配信されたPlayStation 4用パズルアクションゲームであり、シンガポール工科デザイン大学の学生チームによって開発されたインディー精神あふれる独創的な作品です。プレイヤーは荒廃した研究施設で目覚めた科学者となり、なぜか光に触れるだけで死に至る体質になってしまった自身の謎を解き明かすため、影だけを頼りに施設からの脱出を図ります。

本作では、真上から見下ろすトップビュー視点のステージにおいて、光が当たらない「影」の部分だけが安全地帯となるルールが採用されています。ステージ内に配置されたブロックや柱を動かして光源を遮り、自分自身が進むための影の道を作り出すという、光と影の物理法則を利用したパズル要素が核となっています。

攻略の鍵となるのは、一時的に影の形をその場に留める特殊能力「シャドウエコー」です。物体を動かして影を作り、能力でその影を固定してから物体を別の場所へ移動させるといった手順を踏むことで、通常ではありえないルートを構築し、複雑なトラップを突破する知的な遊びが提供されています。

画面はモノクローム調のアートスタイルで統一されており、セリフやテキストを極力排除した静寂な雰囲気が漂います。ステージ内に落ちている新聞記事や写真を集めることで、施設で何が起きたのかという背景ストーリーが断片的に示唆され、プレイヤーの想像力を掻き立てるミステリアスな世界観が表現されています。

本作は、シンガポール工科デザイン大学(SUTD)の学生たちによって設立されたSUTD Game Labが開発した完全オリジナルのゲーム作品です。学生プロジェクトとして数々の賞を受賞したプロトタイプをベースに、ソニー・コンピュータエンタテインメントの支援を受けて製品化され、光と影のギミックに特化したユニークなパズルゲームとして再構成されたタイトルです。

One Upon Light -影の向こうへ-