『僕のヒーローアカデミア バトル・フォー・オール』は、週刊少年ジャンプ連載の人気作品を原作としたニンテンドー3DS向けヒーローアクションゲームであり、アニメ第1期の放送開始と同時期に展開された初のゲーム化タイトルです。プレイヤーは主人公・緑谷出久をはじめとする雄英高校の生徒たちを操作し、個性(特殊能力)を駆使して戦う構造が採用されています。ゲームは原作の「個性」概念を中心に据えた設計となっており、キャラクターごとに異なる操作体系と戦術が求められる点が特徴です。

本作の中心モードである「ヒーローアカデミアモード」では、12人のプレイアブルキャラクターそれぞれに350以上のステージが用意されており、シナリオ進行とカリキュラム達成によって経験値やクレジットを獲得する構造が導入されています。これらの報酬はキャラクターの強化やコスチュームのカスタマイズに使用可能であり、育成と戦闘の両面においてプレイヤーの選択が反映される設計となっています。特に、キャラクターごとの成長物語が段階的に展開される構造は、原作の成長テーマと連動した演出といえます。

戦闘システムにおいては、「個性コントロールシステム」と「サイドキックシステム」が導入されており、前者は下画面を用いたキャラクター固有の操作体系、後者は戦闘中に呼び出せる支援キャラクターによるサポートアクションを提供します。これにより、通常のアクション操作に加えて、戦況に応じた個性発動や連携が可能となり、戦術的な幅が大きく広がる構造が実現されています。また、通信対戦にも対応しており、育成したキャラクターで友人とのバトルが可能な点も、携帯機向けタイトルとしての設計意図を反映しています。

加えて、初回封入特典としては、アミューズメントカードゲーム『激突!ヒーローズバトル』で使用可能な限定カード2枚と、3DS用特製テーマのダウンロードコードが同梱されており、メディアミックス展開との連動が図られています。開発はDimpsが担当しており、格闘ゲームにおけるノウハウを活かした操作性と演出が随所に見られます。結果として、本作はキャラクターゲームとしての魅力と、育成・戦術・演出の三要素を融合させた設計によって、原作ファン層に向けた完成度の高いタイトルとして構築されています。