『パックワールド』は、バンダイナムコゲームスが展開する「パックマン」シリーズの派生作品であり、同名のCGアニメを原作とした横スクロールアクションゲームです。ニンテンドー3DS版では、アニメの世界観を忠実に再現しつつ、携帯機向けに最適化されたステージ構成と操作体系が採用されています。プレイヤーは主人公パックを操作し、ゴーストたちを食べながらステージを攻略していく構造で、従来の「ドットイート」型ゲームとは異なるアクション性が強調されています。

本作の特徴的な要素として、パワーベリーによる変身システムが挙げられます。ステージ内に配置されたパワーベリーを取得することで、パックは「アイスパック」「ファイアパック」「メタルパック」「カメレオンパック」など、固有の能力を持つ姿に変身可能となります。これらの変身は、特定の敵やギミックへの対処に不可欠であり、ステージ攻略における戦術的選択肢として機能します。変身能力は一時的であるため、使用タイミングの見極めが求められる設計となっています。

ステージ構成は「こおりのシティ」「森」「メイズ」「空の上」など、環境ごとに異なるギミックと敵配置が施されており、各ステージには収集要素やスコアアタック要素が組み込まれています。特に、空中で連続してゴーストにかぶりつくことでスコアが加算される仕組みは、プレイヤーの操作精度と判断力を試す設計となっており、従来のパックマンとは異なるプレイ体験を提供します。また、アニメ版の登場キャラクターであるスパイラルやシリンドリア、ブリンキーらがサポートキャラとして登場し、演出面でも原作との連動が図られています。

加えて、3DS版はPS3/Wii U版とは異なり、2D横スクロール形式で構成されている点が特筆されます。PS3/Wii U版が3D空間での探索型アクションであるのに対し、3DS版はステージクリア型の構造を採用しており、携帯機での短時間プレイに適したテンポ感が意識されています。この差異は、同一IPにおけるプラットフォーム別最適化の好例であり、ユーザー体験の設計における柔軟性と戦略性を示すものです。