『ホームタウンストーリー』は、2013年12月12日にトイボックスおよびスパイク・チュンソフトよりニンテンドー3DS向けに発売されたハートフルアドベンチャーゲームである。開発はハイドとトイボックスが共同で担当し、プロデューサーには『牧場物語』シリーズで知られる和田康宏氏、音楽には『ファイナルファンタジー』シリーズの植松伸夫氏、キャラクターデザインには『ポケモン』初期作品のにしだあつこ氏が起用されるなど、豪華な制作陣が話題を呼んだ。

物語は、祖母の遺した雑貨店を継ぐことになった主人公が、妖精ポチカルの導きで幼少期を過ごした村に戻り、店を経営しながら住人たちと交流を深めていくという構成である。プレイヤーは商品の仕入れや陳列、価格設定を行い、住人の要望に応じてイベントを発生させることで物語が進行する。住人との関係性やイベントの発生条件は多くがランダム要素に依存しており、特定のアイテムを所持して話しかける、あるいは店頭に並べることでイベントが発生する仕組みとなっている。

ゲーム内には結婚候補となるキャラクターも複数登場し、恋愛イベントや個別のストーリーも用意されているが、進行条件が不明瞭であることや、イベントの発生が運に左右される点がプレイヤーの混乱を招いた。また、棚に置ける商品が1つずつであること、価格設定や補充がすべて手動であることなど、経営面の煩雑さも指摘されている。

演出面では、温かみのあるグラフィックと高品質なBGMが評価されており、特に店内で流れるボーカル入り楽曲(初音ミクによる歌唱)は話題性を持った。一方で、カメラワークの不安定さや3D酔いを誘発する視点切り替え、セーブと就寝が強制的に連動する仕様など、プレイアビリティに関する問題点も多く報告された。

結果として本作は、期待された“ハートフル”な体験とは裏腹に、理不尽なランダム性や不親切な設計が目立ち、2013年の「クソゲーオブザイヤー」携帯機部門大賞に選出されるなど、厳しい評価を受けることとなった。それでも、独特の世界観やキャラクターの魅力に惹かれたプレイヤーも存在し、後にiOS向けに『ホームタウンストーリー Pocket』として再構成されたバージョンも配信されている。