『TRUE REMEMBRANCE ~記憶のかけら~』は、2012年にアークシステムワークスからニンテンドー3DS向けに配信されたビジュアルノベルで、里見しばが2003年にPC向けに発表したフリーゲーム『TRUE REMEMBRANCE』をベースとした作品です。

悲しい記憶に心を縛られてしまう「セツナ病」の人々を癒すため、記憶を封じる職業「封士」として働く青年クロメは、白い街で静かに暮らしていました。ある日、彼のもとに「ラ」と名乗る少女が客として訪れ、彼女の記憶を封じる契約を交わします。プレイヤーはクロメとラの視点を交互に追いながら、彼らの心の交流と、街に訪れる人々との出会いを体験します。

本作では、雪のように淡く静かな日常が描かれ、やがて訪れる別れや真実が、穏やかな時間に陰影を与えます。3DS版ではイラストレーターがVOFANに変更され、キャラクターがデフォルメ化されたほか、後日談的な新シナリオ「カプリッチオ」が追加されました。選択肢のない純粋なストーリー体験を重視した構成で、オルゴール調のBGMと繊細な文体が、記憶と癒しをテーマにした物語に深みを与えています。