『タケヤリマン』は、ポイソフトが手がけたニンテンドー3DS向けダウンロード専用ソフトであり、架空のアミューズメント筐体を模した独自のゲーム体験を提供する作品です。プレイヤーは「タケヤリマン」となり、竹ヤリ一本で迫りくるハリボテの敵を突いて倒すという、極めてシンプルながらも緻密な操作と判断力が求められる構造を備えています。ゲームは一人称視点で展開され、横方向への移動と突き操作のみで構成されるため、視覚的な制約と操作性のバランスが設計上の鍵となっています。

本作の最大の特徴は、4種類の筐体(初代、2代目、3代目、フォーエバー)によって異なる難易度と演出が用意されている点にあります。各筐体は2030年代に稼働したという設定が付与されており、ストーリー背景や敵の構成が段階的に複雑化していきます。特に「フォーエバー」では、過去3作の敵が総登場する非正規筐体という設定が導入されており、クリア条件が存在しない無限プレイ形式が採用されています。この構造は、アーケードゲームの挑戦性とリプレイ性を意識した設計思想の表れといえます。

操作体系はアナログレバーによる左右移動と、3種類の突き(通常突き、ジャキーン突き、特殊突き)によって構成されており、各突きには性能差と使用条件が明確に設定されています。特殊突きには「のびーる竹ヤリ」「どすこい突き」「三日月」「ビリビリボール」「整列笛」「天罰」などが存在し、それぞれに使用回数制限と戦術的効果が付与されています。これらの要素は、単純なアクションに戦略性を持たせるための設計的工夫であり、プレイヤーの判断力と反射神経を試す構造となっています。

加えて、敵の挙動やステージ構成には「ドミノスタイル」や「コンボ」などのスコアボーナス要素が組み込まれており、単なるクリアだけでなく高得点を狙うプレイスタイルにも対応しています。敵の種類には爆弾、水風船、硬い敵、ボス敵、娘さん(誤って攻撃するとペナルティ)などが存在し、それぞれに対処法が異なるため、プレイヤーは状況に応じた最適な突きを選択する必要があります。これらの設計は、ゲームセンター風の演出と相まって、独特の緊張感と達成感を生み出しています。