『メタルギアソリッドV グラウンド・ゼロズ』は、コナミデジタルエンタテインメントが開発したステルスアクションゲームであり、シリーズ本編『メタルギアソリッドV ファントムペイン』のプロローグに位置づけられる作品です。本作は、シリーズ通算5作目に該当するタイトルである一方、ナンバリングタイトルとしては初めてオープンワールド構造を導入した事例であり、従来のステージクリア型から脱却した設計が採用されています。この設計変更により、プレイヤーの探索行動や攻略手順に自由度を与える構造が構築されています。

物語設定は1975年、キューバ南端に位置する米軍基地「キャンプ・オメガ」を舞台として展開されており、主人公スネーク(通称:ビッグ・ボス)は、敵勢力に拘束された少年兵チコおよび女性工作員パスの救出任務を帯びて潜入を敢行します。本作の時間軸は、シリーズ時系列上『ピースウォーカー』に続く位置づけであり、後続作『ファントムペイン』への直接的導線となる要素が多数実装されています。物語の演出は短編的構成でありながら、シリーズ内政治的背景・組織構造に関する詳細な情報提示が意図された構成です。

ゲームプレイ面では、リアルタイムの天候変化や非線形の目標達成方法などが導入されており、それに伴いプレイヤー行動に基づく環境応答性が強化されています。また、プレイ中の情報取得・分析支援を担うターミナル「iDROID」機能が追加されており、地形把握・任務進行・データ管理などを一括制御可能とする設計が採用されています。本機能は後続作でも継続使用される汎用システムとして設計されており、シリーズ内UX統一化への足がかりとなっています。

開発工程では、ゲームエンジン「Fox Engine」が用いられており、同エンジンは小島プロダクションが独自開発した汎用型ゲーム開発基盤です。『グラウンド・ゼロズ』は本エンジンを用いた初の商用タイトルであり、ライティング・AI挙動・物理演算等の品質検証を主目的としたプロジェクト側面も併せ持つ構成となっています。これら技術的検証要素は、『ファントムペイン』開発本編に向けた先行的テストベッドという位置づけを備えています。