『ラチェット&クランク オールフォーワン』は、2011年にインソムニアックゲームズが開発し、ソニー・コンピュータエンタテインメントよりPlayStation 3向けに発売されたアクションゲームです。本作はシリーズ第9作目にあたり、前作『FUTURE2』の2年後を舞台としたスピンオフ作品として位置づけられています。最大の特徴は、シリーズ初の4人協力プレイに対応した構成であり、ラチェット、クランク、キャプテン・クォーク、ドクター・ネファリウスの4人がプレイヤーキャラクターとして使用可能です。
物語は、ヒーロー引退を考えていたラチェットとクランクが、ネファリウスの陰謀によって未知の惑星「マグナス」に拉致されるところから始まります。彼らは、銀河の生物を収集する巨大ロボット「エフェメリス」によって危機に陥った惑星を救うため、協力して事件の真相を追うことになります。敵の司令官スポッグや黒幕ニーボの存在が明かされる中、4人はそれぞれの立場を超えて団結し、銀河の命運をかけた戦いに挑む構成です。
ゲームシステムは、固定視点による横スクロール型のステージ構成を採用しており、従来の探索型アクションとは異なる設計です。各キャラクターは固有の格闘技と専用武器を持ち、協力プレイ時には同じ武器で同じ敵を攻撃することでダメージ補正が発生する「協力アタック」システムが導入されています。また、味方を吸い込んで遠方に飛ばす「VAC-U」や、敵の爆弾を吸収して投げ返すギミックなど、協力を前提とした仕掛けが多数存在します。オフライン時はBOTが補助キャラとして登場し、1人プレイでも進行可能な構成です。
演出面では、シリーズ恒例のユーモアとSF要素が融合した構成が展開され、実況ロボット「ダラス」と「ファニータ」による掛け合いや、スージーという少女との交流など、新規キャラクターも登場します。ただし、ムービースキップ不可、視点固定による操作性の制限、チャレンジモードの削除など、従来作と比較して快適性に課題があると指摘されています。全体としては、協力プレイを重視したパーティー型アクションとして設計された異色作であり、シリーズの新たな方向性を模索した作品と位置づけられます。
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