『Brink(ブリンク)』は、2011年にSplash Damageが開発し、ベセスダ・ソフトワークスより発売されたマルチプレイヤー重視のファーストパーソン・シューティング(FPS)ゲームです。近未来の水上都市「The Ark(ジ・アーク)」を舞台に、秩序を守ろうとする「セキュリティ」と、自由を求めて反乱を起こす「レジスタンス」という2つの勢力の対立を描いており、プレイヤーはどちらかの陣営に属して戦うことになります。

本作の最大の特徴は、パルクールのような動きが可能な「SMART(Smooth Movement Across Random Terrain)」システムにあります。これにより、ジャンプ、スライディング、壁乗り越えといったアクションが直感的に行え、戦場を縦横無尽に駆け抜けるダイナミックなプレイが可能となっています。また、シングルプレイとマルチプレイの境界が曖昧に設計されており、キャンペーンモードでもオンライン対戦と同様のルールで進行し、AIまたは他プレイヤーと共にミッションを遂行する形式が採用されています。

キャラクターカスタマイズも豊富で、外見や装備、スキルを細かく設定できるほか、兵科(ソルジャー、メディック、エンジニア、オペレーティブ)ごとに異なる役割が与えられており、チームプレイの戦術性が重視されています。ビジュアルはグラフィティ風のスタイリッシュなデザインで統一されており、近未来の荒廃した都市と水上構造物が融合した独特の世界観を演出しています。

ただし、発売当初はサーバーの不安定さやAIの挙動、バランス面での問題が指摘され、期待されたほどの成功には至りませんでした。それでも、チームベースの戦術FPSとしての試みや、移動の自由度を高めた設計は、後の作品にも影響を与えたと評価されています。